【第1章】マンション管理会社総論
【第2章】管理員に必要な予備知識と心構え
【第3章】マンションから求められている管理人像
【第4章】管理人業務の基本
【第5章】管理員の実務
【第6章】ルール違反者やクレーマーへの対応方法
【第7章】管理員業務における重大ミスを未然に防ぐ
【第8章】管理委託契約書の遵守と契約外事項の対応
【第9章】マンション管理の基礎知識
契約書にそって業務をおこなう
- 管理委託契約の内容を遵守
- 契約外のことは丁寧に断る
管理会社と管理組合の契約である「管理委託契約書」を遵守することは管理員業務の基本です。管理委託契約とは最低限これだけのことをおこなうという管理会社から管理組合への約束事です。したがって、管理会社の社員である管理人さんも管理委託契約書の内容を遵守する必要があります。
仮に、管理委託契約書の記載事項を遂行しなかった場合には「債務不履行」になるので管理組合から対価をいただくことはできません。今一度「実際の業務」と「管理委託契約書」の内容に齟齬がないか管理委託契約書の管理員業務にかかわるところを確認してください。
管理員業務の記載欄を確認して「勤務日」や「勤務時間」が守られていますか?特に注意が必要なのが、イレギュラーな勤務の時です。
- 夏季休暇や年末年始の取り扱い
- 休暇の日における代務員の派遣
- 休日におけるごみ収集の方法
また、清掃範囲や実施内容についても確認しましょう。
- 管理員の清掃範囲に間違いはない?
- 共用廊下は週何回掃除が必要?
- エントランスの窓拭きは週何回?
このように管理人さんの業務は原則として「管理委託契約書」にそっておこないますが、一方で、くれぐれも「管理委託契約書」のとおりやっているから「文句はないだろう!」なんて態度を見せないように注意してください。
なぜなら、マンションの管理項目は多様で複雑なため管理委託契約書にすべての事柄が記載されているわけではからです。
また、マンションにお住まいの方は、一般的に管理委託契約書の内容を事細かく理解していません。したがって、管理人さんが住人からお願いされたことに対して「それは契約外です!」とぶっきらぼうに答えてしまっては、顧客が怒るのも無理はありません。断るにあたっては相手の気持ちをよく理解して丁寧な対応を心がけましょう。
契約書の範囲外の対応
- 室外機の上部の清掃はどうする?
- マンションの前面道路の清掃はやる?
- 友人がくるから荷物を預かって?
契約外のことを住人から頼まれることも多い管理員さん。サービス業として契約内容の範囲外であってもできる限り顧客の要望には応えたいという気持ちは大切です。
しかし、時にはきっぱりとお断りすべきこともあります。特に「個人の財産に関わること」に関しては住人との大きなトラブルにつながることもあるため、原則としてお断りすべきです。実際に「居住者の荷物を管理室で預かる」「各住戸に立ち入って電球交換をする」などの行為はほとんどの管理会社で禁止事項としています。
マンションの住人から依頼されたことがやっても良いことか管理人さんでは判断がつかない場合には、物件担当者に事前確認をしましょう。
仮に、お断りすることになった場合には不満を持たれないように住人に対して丁寧な説明と礼儀が大切です。必要があれば、契約書の内容を噛み砕いてお断りする理由を説明することも求められます。