【第1章】マンション管理会社総論
【第2章】管理員に必要な予備知識と心構え
【第3章】マンションから求められている管理人像
【第4章】管理人業務の基本
【第5章】管理員の実務
【第6章】ルール違反者やクレーマーへの対応方法
【第7章】管理員業務における重大ミスを未然に防ぐ
【第8章】管理委託契約書の遵守と契約外事項の対応
【第9章】マンション管理の基礎知識
区分所有者と賃借人の区別
マンションの各戸の所有者を「区分所有者」と呼び、その「区分所有者」からお部屋を借りているのが「賃借人」です。
管理会社側からすれば区分所有者が納める管理費から管理会社は対価をいただいているので顧客は「区分所有者」となります。しかし、日常の対応においては「区分所有者」と「賃借人」を差別する必要は全くありません。
ただし、業務の上では「区分所有者」「賃借人」への対応が多少異なることがあります。例えば「総会」に出席できるのは原則として「区分所有者」だけですので、総会開催通知を賃借人に配布する必要はありません。
仮に「賃借人」が「総会」に出席したいと名乗り出ても許可するのは理事長や理事会の判断次第です。
業務上はこのような違いがありますので管理人さんは顧客名簿などを参考にして、何号室に賃借人が住んでいるといった情報をある程度頭に入れて置く必要性があるでしょう。
管理費、修繕積立金、管理委託費
「管理費」や「修繕積立金」は毎月一回決まった日付に区分所有者の口座から引き落とされます。管理費の引落日や口座に関する内容は住人からよく聞かれますので、管理人さんは内容を十分に理解しておきましょう。
こうした管理組合の財産である「管理費」や「修繕積立金」は、管理組合の理事長名義の口座で保管されています。
また「管理委託費」とは管理組合が管理会社に支払っている費用のことです。住人の中には区分所有者が管理組合に支払っている「管理費」と管理会社に支払う「管理委託費」を混同しているケースがあります。
万が一、住人から「管理費が高い!!」と言われた場合には、言葉のニュアンスから管理会社を批判しているのかどうかを判断してください。
管理規約と使用細則
- 役員の選任方法
- 駐輪場の募集方法
- 総会の開催時期
自分の働いているマンションの「管理規約」や「使用細則」を理解することは管理員業務の基本事項です。
住人同士のトラブルの解決や駐輪場の維持管理など管理員業務のほとんどは「管理規約」や「使用細則」を理解していなければ適切に業務をおこなえません。
住人に不意にマンションのルールについて聞かれることもあるでしょう。
「管理規約」や「使用細則」は常に手元に置いて、業務の合間にでも目をとおすようにして不明な点があったら物件担当者に質問するのも良いでしょう。なお、管理規約の変更には総会の決議が必要です。