理事をやりたくないという現実
国土交通省の調査では、管理組合の役員就任を引き受けない理由では「高齢のため」が36.4%と最も多く、次に「仕事等が忙しく時間的に無理だから」が22.7%、そして「面倒くさいから」が18.2%となっています。
理事会の進行
理事会の進行は、各マンション毎の慣例・その期の理事の意向や管理会社担当者のやり方などによって、マンション毎に違いますが、一般的に以下のようになります。
基本的な理事会の進行
- 月例の報告(会計、業務など)
- 前回の理事会の振り返り
- 現状の課題について議論
管理会社に業務委託している一般的なマンションでは、まず管理会社の担当者(フロント)から、月次の報告があります。マンションの規模が大きくなるとそれなりに報告事項も増えてきます。管理費や修繕積立金の滞納状況や修繕工事の進捗など、報告項目は多数ありますので、時間がかかるのはやむを得ない面もあります。
月次報告のあとに、前回の理事会の振り返りをおこない、その後に、現状の課題について議論をおこないます。特に大規模修繕工事、規約変更、居住者間のトラブルなど重要な課題がある場合は議論が長時間に及ぶ場合もあるでしょう。
多くの管理組合の理事会が1~2ヶ月に1回という頻度でおこなわれていますが、2時間~3時間、場合によっては数時間にもおよぶ理事会もあります。
理事会が長くなる理由
打ち合わせは、理事会だけではなく会社の会議でも効率よく短時間でおこなうことは重要なことです。特にマンションの理事は、主にボランティアでおこなわれ、休日の午前中や仕事から帰宅後に開催されるケースも多いので、できる限り短時間でおこなうことが望ましいでしょう。理事会が長くなる原因は大別すると以下のように2つのケースがあります。
- 管理会社担当者(フロント)の段取りが悪い
- 理事に「理事会を趣味」としている方がいる
管理会社の担当者の(フロントマン)の段取りが悪い場合には、担当者にとにかく効率的に理事会を進行するように改善を求めればある程度、時間短縮の効果はみられでしょう。
高齢者に多い理事会が趣味
一方で、理事会メンバーに、理事会が長くなる原因がある場合には、改善するのが難しいケースが多くあります。問題は、理事会が「趣味」になっている理事の存在です。
ほとんど理事は、理事会は早く終わって欲しいと思っていますが、中には熱心なのは良いことなのですが、理事会が趣味や生きがいとなっている方もいます。このような方の存在は、理事会を2時間以内を目標に時間短縮を考えた時に会社の会議とは違うマンションの理事会ならではの難しさとなります。
理事会を短縮するための3つのポイント
ポイント1│理事もマンション管理の知識を身につける
理事会が長引く理由のひとつに理事の基本的な知識不足があげられます。マンション管理の専門家ではない理事会のメンバーに、管理についての高度な知識を求めるのは酷ですが、管理会社の担当者(フロントマン)に見当はずれな理論で、いちいち食って掛かると時間がいくらあっても足りません。
その反論が、管理組合のためになっていれば良いのですが、たとえば、「管理費と管理委託費の区別がついていない」「管理会社からの提案をすべて金儲けの手段と受け止める」といった反論は時間の無駄と言わざるをえません。
知らないがゆえの反論やクレームで議論が停滞したおかげで、理事会が長引き結局は何も決まらないといった非効率な理事会になってしまいます。理事が最低限のマンション管理の知識を身につけて理事会に出席することは、理事としての最低限のマナーと言えるでしょう。
ポイント2│事前に資料を配布し事前準備をおこなう
理事会を効率よく行うためには事前準備が不可欠です。管理会社に業務を委託しているマンションでは、理事会資料は管理会社の担当者(フロントマン)が用意します。理事は、理事会資料を最低でも1週間前には受け取るようにしましょう。事前に議事の内容を確認することが当日の議論を効率化する秘訣です。
理事会当日は、事前に配布された理事会資料に沿って進行します。そうすることで、理事会は短時間で終了することができるようになります。理事会の場ではじめて資料に目を通して意見を述べるようなやり方では、理事の人数が多い場合などには時間がかかる原因となります。
一歩進んで、事前にグループウェアなどを用いて、検討事項について、あらかじめ検討をおこなっておくと、理事会の時間を大幅に削減できます。当日は、最終的な意見の摺合せと採決だけで済むことになるので理事会を短時間で終わらせることができます。
万が一、管理会社の担当者(フロントマン)が、当日にならないと資料を配付していないようであれば、管理会社の担当者に改善をもとめましょう。
ポイント3│理事会の終了時間を事前に取り決めておく
事前に理事会の終了時間を決めて、その時間内で終わるように理事会の時間を明確に決めておきます。特にマンション内の集会室や管理室で理事会をおこう場合には会場の終了時間がないためどうしても長くなりがちです。
また、理事会メンバーが顔見知りの場合、どうしても時間にルーズになります。遅刻者がいても、理事会の開催要件を満たしていれば、時間どおりにはじめるようにしましょう。特にワンマンな理事長がいる場合には、理事会がいつまでも続く場合がありますので、冒頭で理事会の終了時間を確認することが大切です。
理事会の終了時間を明確に定めることで、無駄話や無責任な発言も減り意義のある理事会の運営になるでしょう。管理会社の担当者(フロントマン)は立場上、理事長にはっきりと言いづらいケースがあるので、他の理事がやんわりと伝えることも大切です。
この記事のまとめ
ただし、理事会が趣味や生きがいになっているような方が理事にいる場合には、これまでみてきたような理事会の効率化の手法での時間短縮には限界があります。抜本的な解決方法はないのですが、理事の選任方法を輪番にして任期を短期間に留めるなどの消極的な方法の他、思い切って第三者管理方式などを採用して理事長に外部の専門家を採用する方法なども選択肢として検討してはいかがでしょうか。