マンションの給水方式は大別すると2種類
マンションの給水方式には、水圧を利用して給水する「直結給水方式」と受水槽や高置水槽を設ける「受水槽方式」があります。受水槽方式では、マンションの敷地や屋上に一旦水を貯めておく貯水タンクがあります。昨今では、水道事業者の供給性能の向上や、より衛生的な水を望む方が多いため直結方式が採用されるケースが多くなっています。
その1増圧直結給水方式
直結方式は、水道本管から直接蛇口まで供給する方式ですが、マンションの場合には、建物の高さがあるので直結方式では、水道本管からの給水圧力では、2、3階程度までしか給水することができません。そこで、給水の圧力を補完するために増圧給水ポンプを設置することにより、中層階くらいのマンションでも給水することが可能となります。この方式を「増圧直結給水方式」と呼んでいます。
増圧給水ポンプを利用するこの方式の場合には受水槽がないため衛生的で、受水槽のスペースが必要ありません。また、受水槽方式では必要となる「貯水槽清掃」を実施する必要がありません。
デメリットとしては、災害発生時に水道の供給が停止した場合には、受水槽方式と違い給水が完全に停止してしまいます。また、同様に停電時には増圧給水ポンプが働かないために水圧が低下して、上の方の階には給水が届かないことになります。
その2受水槽方式
受水槽方式では、水道本管からの水を一旦受水槽に蓄えて、そこから各住戸に給水する方式です。さらに屋上にも水槽を設置する「高置水槽方式」は、現在の新築マンションにおいてはタワーマンションを除いて、ほとんど採用されることはなくなってています。
受水槽方式では、災害等で水道本館が断水しても、受水槽にある程度の水が溜まっているので受水槽に非常用の水栓を取り付けることで、水を取水できるメリットがあります。
一方でデメリットとして、高置水槽方式では、地震時に建物の屋上に重量のある貯水槽が設置されている危険性や、貯水槽の衛生上の問題などで増圧給水ポンプ方式などに変更するマンションも増えています。増圧給水ポンプに変更が可能であるかは、その地域の条件にもよるため所轄の水道局に確認する必要があります。
マンションの給水設備の点検・清掃
マンションでは安心な水道水を蛇口まで届けるために、貯水槽を常に衛生的な状態を維持する必要がります。そのためには、定期的な受水槽や高架水槽の清掃、水質検査など衛生管理が欠かせません。また、給水ポンプも各自治体の条例で点検が義務付けられている場合があります。
貯水槽清掃業務
マンションに受水槽や高架水槽が設置されている場合には、定期的に清掃や水質検査、点検が必要です。水道法では貯水槽のうち有効容量の合計が10㎥を超えるものを「簡易専用水道」と呼び、水道法や自治体の指導により、年1回以上の水槽の清掃や水質検査、設備点検などを義務付けています。
給水ポンプ点検
給水ポンプ点検は法定点検ではありません。しかし、各自治体の条例で点検が義務付けられてる場合があります。例えば、東京都では、年に1回の点検をおこなう必要があります。