管理組合の「組織」と「総会」の関係
分譲マンションのような区分所有建物における法律、区分所有法では「管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない」と定めています。ここでいう管理者とは通常は、管理組合の理事長のことです。区分所有法での「集会」とは、一般的には「総会」と呼ばれています。
また、年に一度、定期的に開催される総会を一般的には「通常総会」「定期総会」と呼んでいます。この年に1回開催される通常(定期)総会のほかに、特定の議案を審議するために開催される総会を「臨時総会」と呼んでいます。なお、総会は、区分所有者の全員が参加して、マンション管理組合の運営上重要な案件を決める管理組合にとっての最高意思決定機関の役割を担います。
マンション管理組合の総会の基本
総会を招集するのは誰?
マンション管理組合の総会は原則として管理者である理事長が招集することになっていますが、例外的に、一定のルールに基づいて理事長以外の組合員による総会の開催が認められています。まず、監事が「管理組合の業務の執行及び財産の状況」について不正があると認めたときには総会を招集することができます。そして、特定の組合員が「組合員総数及び議決権総数の5分の1以上の同意」を得て、総会の招集を理事長に請求しても理事長が総会の開催をおこなわない場合には、請求をした組合員が臨時総会を招集することができます。
通常総会と臨時総会の違い
マンション管理組合の総会には、年に一回必ず開催される「通常総会」と、大規模修繕工事など重要な議題を審議する「臨時総会」があります。いずれも、区分所有者であれば必ず出席すべきものです。特に、臨時総会を開催するのは、大規模修繕工事や管理会社の変更など、マンションの住人にとって、重大な案件に関わることがほとんどです。総会の出席者をできるだけ増やすために、総会の開催が決まったらできるだけ早く総会案内の配布をおこなったり、掲示板を活用するなどの対応が必要です。
管理組合の総会決議の方法
総会にあげられた議案を議決する際には「出席組合員の議決権の過半数」で可決することを『普通決議』といいます。特に重要な事柄については区分所有法で「組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上」の賛成が必要と定められている『特別決議』。その他「組合員総数及び議決 権総数の各5分の4以上」の賛成が必要な『建替え決議』、『マンシ ョン敷地売却決議』があります。
普通決議と特別決議の違い
総会での決議は、その重要性に応じて「普通決議」と「特別決議」に分かれています。マンション管理組合の総会では、議案を議決する際に、通常の議案について過半数の賛成により可決することを「普通決議」、特に重要な議案については、4分の3以上の賛成などの特別多数の賛成により可決することは「特別決議」と呼んでいます。特別決議は、重要な案件を決議するために成立要件は普通決議よりも厳しくなっています。※なお、建替え決議等については、5分の4以上の賛成が必要になります。
マンション管理組合の総会開催
総会議案書の作成
区分所有法では「集会においては、あらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる」」と定められているため、総会で決議が必要な事柄は、事前に議案書に記載する必要があります。議案にすべき項目は区分所有法や管理規約に記載されている事項のほか、理事会で管理組合毎の事情にあった議案を作成することができます。
招集通知書・議案書の配布
総会を開催するには組合員に通知をしなくてはなりません。総会の「招集通知」を区分所有者全員に配布します。標準管理規約では、総会の期日の2週間前まで、緊急時には条件付きで5日前までに発送しなければならないと定められています。例外として「建替え決議」「敷地売却決議」の場合には、2ヶ月前までとされています。
総会進行の流れ・挨拶・スピーチの文例
分譲マンションでの総会の進行は、理事長の大切な仕事のひとつですが、はじめて、理事になった方にとっては、大勢の出席者の前で話をすることは不慣れで緊張するものです。そこで、総会での挨拶やスピーチの例文案を作成しましたので、総会進行の参考としてご利用ください。
総会開催のタイムスケジュール
通常総会(定期総会)は、毎年1回定期的に開催する管理組合の大切なイベントです。「今期の決算」「来期の予算」「理事の選任」等について決定します。それを実施していくのは理事会の大切な仕事ですので、スムースに進行できるように開催まで余裕をもって事前準備をおこなうことが重要です。
総会の出席率をあげるための工夫
マンション管理組合では、総会の出席率が年々低くなる傾向にあります。総会の出席率が下がり続けると「総会が成立しない」といった事態になり、総会で「規約の改正」や「管理費の値上げ」等の重要なことが決められないといった問題につながります。これといった即効薬はありませんが、日常的に、理事会の業務や懸念事項について広報活動をするなど、管理への意識を高める活動をおこなうなど、総会の出席率を高めるための工夫が大切です。
総会の欠席者を減らす方法
総会は、管理組合の重要な決定をおこなう場であると同時に、コミュニケーションはかる場としての大切な役割がありますが、マンションも築年数の経過とともに管理に対する関心が薄れ総会の出席者が減少する傾向があります。毎回決まった方しか参加しないマンションでは、管理組合の活動の停滞してしまいますので、総会の出席率を高める工夫をしていくことは理事会の大切な仕事のひとつです。