マンションでの3大トラブルとは?
多くの人が集まって住むマンションでは生活を送る中で時にはトラブルに遭遇することもあります。国土交通省が毎年発表しているマンション総合調査結果では、76.8%のマンションが何らかのトラブルを抱えています。マンション内のトラブルで多いのは、生活のマーナー関わることです。これらの問題は管理組合のなかで解決するのは難しい問題であり、また、裁判をしたとしても簡単に解決できるものでもありません。そのために予防策として、広報活動に力を入れたりトラブルが発生しないようにルールをつくることが基本となります。
マンションでのトラブルの中でも特に多いのが生活音、違法駐車、ペット飼育によるものです。この3つが、「マンションの三大トラブル」と呼ばれています。これらのトラブルは管理組合が理事会で解決をしていかなければなりませんが、同じ屋根の下で暮らす住人同士のトラブルとなると自分達だけで解決することも難しくなってきます。こうした場合には各分野の専門家の助けを借りましょう。
トラブルの種類とその対処法
役員(理事)のなり手不足の問題
分譲マンションでは「居住者の高齢化」や「無関心層の増加」などにより、役員(理事・監事)のなり手不足が社会問題化しています。役員のなり手不足の問題を解決することは簡単なことではありませんが、コンサルタントの支援なども受けて管理不全にならないように対処していきましょう。
住人の高齢化問題
マンションも築30年を超えてくると住人のほとんどの方が高齢世帯で、管理組合役員の担い手が不足して、管理組合運営もままならないマンションも増えてきます。こうなると自分たちで高齢化対策をおこなうことは困難になるため、できるだけ早いタイミングで高齢化問題に取り組む必要があるでしょう。
マンション内での騒音トラブル
マンションなどのコンクリート造りの建物は、各住戸の物音が、天井・床・壁を通して、上下左右の住宅に伝わります。騒音についてのトラブルが発生したときは、当事者間の話し合いで解決するのが基本です。しかし、それでも解決が困難な場合には、理事会で注意を促すなどの対応が必要になることもあります。
ペットの飼育に関するトラブル
ペットの飼育トラブルは、「鳴き声」「ふん尿の悪臭」「抜け毛」などが原因となります。少子高齢化が進む中でペットを飼う家庭も増えているため、マンションでのペット飼育に関するトラブルは増える傾向にあります。管理組合や理事会でルールの制定などの対策が必要となるケースも多いでしょう。
敷地内での違法駐車のトラブル
マンションの敷地内での違法駐車は、通行の妨げになるだけではなく、火事などのさいに「消防車の侵入が妨げられる」「交通事故を誘発」するなど安全面での懸念もあります。違法駐車は、居住者によるものの他、外部の第三者が原因となることも多いため、時間をかけて根気よく取り組む必要があります。
管理費や修繕積立金の滞納問題
管理費や修繕積立金の滞納問題は、ほとんどのマンションで発生しています。管理費等の滞納は、区分所有者間の不公平感から住人間のトラブルや理事会と滞納者等の対立につながる問題です。理事会と管理会社が協力をして長期の滞納にならないように初期の段階で迅速に対応することが最も大切なことです。
駐輪場の空きがない問題
車離れや健康志向の高まりなどにより、駐輪場の不足が管理組合にとって頭の痛い問題になっています。駐輪場の増設は難しいケースも多く、使用細則の整備などによるルールづくりや、不要な自転車を長期間放置しない管理体制の強化が有効です。マンションの事情にあった自転車置場のルールづくりを目指しましょう。
共用部分に私物放置のトラブル
マンションの共用廊下や駐車場などに、私物を放置する違反行為は、マンションの美観を損なうほか、火事や地震などの発生時に、避難経路を塞ぎ大変危険です。マンション全体にこうした違反が広がらないように、私物が置かれているのを発見した際には、すぐに注意をおこなうなどの迅速な対応が必要となります。
マンションの違法民泊トラブル
住宅宿泊事業法が施行され、マンションでも正式な手続きをおこなえば、合法的に民泊事業をおこなえるようになりました。実際には、大多数のマンションでは民泊としての利用を禁止としています。それにもかかわらず、マンション内で違法な民泊が営業されることもあるので違法行為を早急に発見して中止を促すことが大切です。
排水管清掃の実施率が低い問題
マンションの排水管は、汚れが蓄積すると配管の劣化や漏水事故の原因となるため、定期的な清掃が必要となります。しかし、排水管清掃の実施に非協力な居住者も多く、実施率が上がらない管理組合も多いようです。管清掃の実施率を向上させるためには、お知らせ文を工夫するなど、実施率を高めるための対策が必要となります。
トラブルが起きた時には専門家を活用しよう
マンションで起こる問題の中でかなりの部分については、理事会を中止とした管理組合が解決の主役を担うことになります。個々の専有部分の内側で起こる問題を除けば、マンションの問題の大部分は共用部分に関係することが多くなりますから、どうしても管理組合がその答を出す役割を担うことになります。
マンションで起こる問題は、単に建物の維持管理だけではなくて生活全般にわたる幅の広いものですから、それだけに管理組合が解決しなくてなならないことも多岐に渡ります。
集合住宅であるマンションにはいろいろな考え方の方が暮らして、意見の取りまとめもそれほど簡単にはいきません。現実にはわずかな人数のボランティアの役員任せでは無理な場面が多いのも現実です。
国土交通省が公表している管理規約の雛形である「マンション標準管理規約」にも専門家の活用についての記載があります。
一言で専門家といっても、専門家にはそれぞれ得意分野があるのでトラブルの起きた分野に強い専門家の助けを求めるようにしましょう。例えば、滞納問題であったら弁護士、建物や設備の不具合に関しては設計事務所や建築士、誰に頼んだら良いのか分からない管理に関する全般的な悩みに関してはマンション管理士といった具合です。
この記事のまとめ
マンション管理に関するトラブルの種類は、これまでみてきたとおり多種多様で、その当事者や内容によって対応や解決方法はかわってきます。しかし、マンションでおこるトラブル大半は、住人同士のコミュニケーション不足が原因となることが多いでしょう。総会の後の「懇親会」や「共用部の見学会」等を開催して、住人同士のコミュニケーションの場を増やすことがトラブルを未然に防ぐために大切なことです。
万が一トラブルが起きた場合には、その対応は理事会が中心になっておこなうことが多いですが、問題がこじれた場合には、マンション管理会社の担当者(フロントマン)やマンション管理士等の支援を受けて対応をしていくことが重要です。