自主管理マンションとは
自主管理マンションとは管理会社に一切業務を任せないで区分所有者自身で管理をおこなうことを指します。
自主管理マンションでは、設備の保守点検は専門業者と直接契約をして委託しますが、その他の管理業務に関してはできる限り理事会が中心となって業務をおこないます。自主管理マンションは区分所有者の負担が重くなるので、管理組合の意識が高くないと継続していくことは困難です。
管理組合の3つの管理形態
本来マンション管理は、区分所有者で構成される管理組合が主体となっておこなうべきものです。しかし、管理組合の業務の範囲は幅広く、中には「法律」「設備」などの専門的知識を要することもあります。
そこで大多数の管理組合では管理会社に管理業務の一部を委託しています。自主管理を含めて、分譲マンションの管理には「管理会社への全部委託」「管理会社への部分委託」「自主管理」という3つの管理形態があります。
自主管理マンションのメリット
自主管理マンションの一番のメリットとしては、管理組合が専門業者に直接発注することで、管理会社のマージン分を削減できることです。一般的に管理費の総額に占める管理会社への支払い額の割合は、高い場合で6~7割になりますので削減効果はかなり期待できます。
メリット1│管理会社がいないので管理費が安い
分譲マンションにおける管理会社への支払いが管理コストに占める割合はかなり高いので、法定点検業務など有資格者でなければできない業務以外を、区分所有者自らおこなうことで、管理会社への支払いが不要になり管理コストの節減となって管理費を抑えることができます。
メリット2│住人同士の結束が強くなる
管理会社がいないことで、住民同士の結束が高まり、自分たちのマンションをより良いものにしていくという意識を共有できます。自主管理では熱心に管理組合の運営がおこなわれる傾向があります。
自主管理マンションのデメリット
自主管理のデメリットは、居住者に高齢者が増えるなどの理由で理事のなり手がいないとなった場合に、管理組合運営が疎かになりかねないことです。また、管理組合運営に限ったことではありませんが、人間関係がこじれることも少なくありません。理事会や居住者間のトラブルが発生した場合に、管理会社に頼ることができません。
デメリット1│役員(理事)のなり手がいない
居住者の高齢化や賃貸化などの影響による理事のなり手不足などの事情で理事会を中心とした管理組合運営を機能しなくなってきているという管理組合も少なくありません。昨今では、マンションの老朽の進行や住人の意識の変化などにより、マンション管理の複雑化が進んでいるので自主管理の負担も重くなっています。
デメリット2│大規模マンションでは自主管理は難しい
実際に自主管理をおこなっているマンションの多くは、総戸数が10戸、あるいは20戸といった小規模のマンションが多数を占めています。例えば、小規模のマンションなら理事会で会計業務をおこなえても大規模マンションの場合には簡単ではありません。
これから自主管理を目指す?
管理組合の方からコストダウンを目的に「自主管理」の可能性を相談されることがあります。前述のとおり「自主管理」というのは、管理会社の存在をあてにせず、管理組合だけですべての管理を行うことです。
この方法を実行できれば、管理会社に対する管理委託費も払わなくていいことになりますから、費用も実質的なものだけにできるメリットがあります。
しかし現実的には、自主管理を実行できる可能性については、相当慎重に考える必要があります。管理組合の運営は、そのマンションが存在する限り継続して何十年もの間、同じ水準が維持されなくてはならないことを考えなくてはなりません。
これから住人の高齢化が深刻になり、役員のなり手不足が予測される中、大多数の管理組合にとって、継続の難しさを解決することはそれほど簡単ではないと思われることから軽率に自主管理の方法を奨めることはできません。
自主管理マンションの現状
国土交通省の調査によると、分譲マンションの内、自主管理をおこなっている管理組合は6.8%に留まっています。管理会社への「全部委託」または「一部委託」を採用している管理組合が9割以上にのぼります。
管理会社に業務委託するマンションも増えている
理事の負担の重い自主管理を維持することが困難なことから、管理会社への業務委託を検討する管理組合が増えています。管理会社に委託することで、理事会の負担は大幅に軽減されます。また、マンション管理士等の専門家が理事長などに就任する「第三者管理方式」を検討する管理組合も増えています。
この記事のまとめ
管理会社に業務を委託している場合には、言葉はあまり適切でないかもしれませんが「面倒なことは管理会社に任せる」ことができますが、自主管理マンションの場合はそうはいきません。
また、自主管理マンションは築年数が経っていて居住者の高齢化が進んでいるケースが多いことから、自主管理体制の継続は簡単なことではないでしょう。
大多数の管理組合の場合は、まず管理会社の存在を前提とした管理組合運営の充実をはかることが重要なことでしょう。