マンションは「終の棲家」となった
令和元年末時点でマンションストック戸数は665.5万戸。1世帯当たり平均人員2.33をかけると、約1,551万人が居住している推計となり 、今や国民の約1割はマンション住まいという状況です。
マンション総合調査によると昭和55年から年々、マンションの住人の永住意識は高まっており、平成30年度の調査では、62.8%が「永住をするつもりである」と回答しています。当然ながら新しい設備の整った新築マンションに住んでいる方もいれば、そろそろ傷みが目立ち始めた築年数の経ったマンションに住んでるかと思います。しかし分譲マンションに住んでいる以上はこの先も快適な住み心地を保つだけではなく資産としての価値も保ち続けて欲しいと想いは同じはずです。
新築 ~ 第1回目の大規模修繕工事までのフロー
ポイントは、1・2年目アフターサービスの活用!
新築マンションでは売主(デベロッパー)が、一定期間、建物の「共用部分」や「専有部分」の不具合を無償で補修するアフターサービスを提供しています。ほとんどのデベロッパーでは1年目と2年目にアフター点検がおこなわれるのが通常です。この点検によって「専有部分」「共用部分」の不具合をチェックして、万が一不具合があった場合にはデベロッパーが無償で補修をおこないます。
デベロッパーがアフター点検を自主的におこなわない場合
デベロッパーが率先して、こうした「アフター点検」や「アンケート」を通して「不具合の把握」や「無償補修」をおこなってくれれば良いのですが、デベロッパーによっては何ら対応しない場合もあります。この場合には理事会が主導してマンション内の不具合を把握してデベロッパーに対応を申し入れる必要があります。
この2年目までの「アフターサービスの基準」は、マンションの売り主が独自で定めているため、対象範囲はマンション毎に異なっています。そこで、マンションの購入時に引き渡された「アフターサービス基準書」の内容をよく確認しておくことが重要となってきます。
2年目までにアフター対応を申し入れする!
アフターサービスの保証期間は2年目までに終了(主要構造部を除く)してしまう項目が多いので、その期間内に不具合箇所があればデベロッパーに対してアフターサービスの対応を依頼することがとても大切なことになります
専門家の活用も検討
「無料保証」のアフターサービスの範囲がどこまでかは、デベロッパーの判断次第となってしまうことが多いため、積極的な管理組合では、アフターサービス期間の区切りごとに、外部の専門家に依頼して、不具合箇所の専門的な調査などをおこなった上で、デベロッパーに対応を依頼することも一般的になっています。
2年を超えると次のアフターサービス期間は10年目になりますが、10年目のアフターサービスの範囲は、建物の基礎や柱、屋上防水などの主要な部分に限られてきます。
マンションでは第1回目の大規模修繕工事を築12年目頃におこなうことが一般的ですから、この10年目までのアフターサービスの中で出来る限り無償でデベロッパーに修繕を行わせることが第1回目の大規模修繕工事の費用を削減することにもつながります。
第2回目の大規模修繕 ~ 建て替えの検討まで
第1回目の大規模修繕を過ぎると、概ね12年周期で第2回、第3回目の大規模修繕工事に進みますが、経年劣化と共に補修すべき箇所も増えて、そのぶん費用もかさむことになります。そして、第4回、5回目の大規模修繕工事の時期には「修繕」か「建替え」の判断を管理組合でおこなう必要性がでてきます。
もちろん、30年も40年も先のことを今から決めておくことは現実的に不可能です。その時の「社会情勢」や「法律」によって建て替えるべきか判断をおこなわなければならないからです。
長期修繕計画で長期的な資金計画をたてよう!
しかし現実的なことを考えれば、どのような判断をするにしても管理組合として十分な資金を確保していくことは必要不可欠なことです。そのためにも、マンションの長期修繕計画を。その時の状況に合わせて5年に一度は見直しをおこなって、常に未来を見据えた「維持・管理」の計画を立てておく必要があるでしょう。