区分所有マンションのルールブックである管理規約とは
マンションは共同生活の場ですので、トラブルを防ぐための「管理組合運営」や「住人のマナー」に関するルールの制定が必要となります。マンションの基本的なルールは「区分所有法」によって定められています。
しかし、マンションには各々個性があり、物理的な「立地」「構造」「規模」といったものから、管理組合の「運営方針」とソフト面での違いもあります。
そこで、マンション毎の実情に則したより具体的なルールとしてマンション毎に「管理規約」が必要となります。
区分所有法第30条(規約事項)
建物またはその敷地も若くは付属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。
「管理規約」は賃借人も守るべきルール
マンションの管理規約は「マンションの憲法」とも呼ばれ、共用部分の「範囲」「使用方法」、理事会の「権限」「義務」など管理組合運営に必要なことが定められています。
また、管理規約は、賃借人についても区分所有者と同じ効力がありますので、賃借人も建物等の使用については管理規約に基づいたルールを守らなくてはなりません。
分所有法第46条(規約および集会の決議の効力)
占有者は、建物またはその敷地も若くは付属施設の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
国土交通省・マンション標準管理規約とは
「マンション標準管理規約」とは、国土交通省によって、管理組合が管理規約を「制定」や「変更」する際の参考として作成されたもので、マンションのタイプによって「単棟型」「複合用途型」「団地型」の3種類が定められています。実際には大多数のマンションの管理規約は、この「マンション標準管理規約」を基本に各々のマンションの事情などを加味して作成されます。
「区分所有法」と「管理規約」の関係
「区分所有法」により、管理規約で定めることができる事項には「管理規約で別段の定めができるとされている事項」「区分所有法通りにしか定めることができない強行規定」と「管理規約で定めることに特に制限の無い事項」の3種類があります。管理規約を変更する場合には、区分所有法の規定と齟齬が生じないように注意を払う必要があります。
その1│管理規約で別段の定めができる事項
- 共用部分の持分割合
- 総会の招集通知の期間
- 総会の議決権の持分割合
- 普通議決権の要件 等
その2│管理規約で別段の定めができない事項(強行規定)
- 管理規約の設定、変更、廃止の議決要件
- 共用部分の変更の議決要件
- 建替えの議決要件
- 総会議事録の作成 等
その3│管理規約で定めることに特に制限の無い事項
- 理事会の設置
- 理事の人数や任期
- 管理費や修繕積立金の算定方法
- 駐車場・集会室等の使用方法 等
管理規約の追記や変更
マンションの管理規約に条文を「追記」したり「変更」する場合は、総会での特別決議(区分所有者および議決権の4分の3以上の決議)が必要になります。ただし、管理規約の制定、改廃が「一部の区分所有者に特別の影響※」を与える場合は、その区分所有者の承諾が必要とされています。
管理規約変更(改正)の手順
- 理事会で管理規約の変更案を作成する
- 総会に議案として上程して「特別決議」で承認を得る
- 変更となった内容について、区分所有者や居住者に周知する
- 改訂された管理規約原本を保管する(管理室等)
この記事のまとめ
理事会は、居住者からの「要望」や「クレーム」等に対して、管理規約と内容を比較しながら対処していくことになります。マンションの管理規約は、マンションで生活をおこなう上で、重要なルールですので、管理規約が、マンションの住人の「生活スタイルの変化」や「法律の改正」などによって合わなくなった場合には、適宜見直しをおこなっていく必要があります。
マンションの管理規約は「マンション暮らしのルール」ですので、理事だけではなくマンションの住人全員が管理規約を手元に置き、常に目を通して自分たちのマンションのルールについて理解を深めることが重要です。