マンション管理組合の滞納の実態
管理費・修繕積立金の滞納住戸割合の推移
平成25年度と平成30年度を比較すると、管理費等の滞納が発生しているマンションの割合は減
少しており、滞納が発生していないマンションは62.7%となっています。
平成30年度における完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど管理費等の滞納があるマンションの割合が高くなる傾向がある。
管理費・修繕積立金の滞納3ヶ月以上の有無と滞納住戸割合
滞納(3ヶ月以上)住戸がある管理組合は24.8%である。滞納住戸割合は「1%超2%以下」が8.3%と最も多く、次いで「1%以下」が6.7%となっている。完成年次別では、完成年次が古くなるほど滞納(3ヶ月以上)住戸がある管理組合の割合が高くなる傾向にある。
管理費・修繕積立金の滞納6ヶ月以上の有無と滞納住戸割合
滞納(6ヶ月以上)住戸がある管理組合は15.2%である。滞納住戸割合は「1%超2%以下」が5.3%と最も多く、次いで「1%以下」が5.0%となっている。完成年次別では、完成年次が古くなるほど滞納(6ヶ月以上)住戸がある管理組合の割合が高くなる傾向にある。
管理費・修繕積立金の滞納1年以上の有無と滞納住戸割合
滞納(1年以上)住戸がある管理組合は16.4%である。滞納住戸割合は「1%超2%以下」が4.7%と最も多く、次いで「1%以下」が4.5%となっている。完成年次別では、完成年次が古くなるほど滞納(1年以上)住戸がある管理組合の割合が高くなる傾向にある。
管理費・修繕積立金の滞納者へ行った管理組合の措置
これまでに滞納者に行ったことがある措置についてみると「文書等による催促」が70.9%と最も多く、次いで「支払請求等の訴訟」が7.2%、「少額訴訟」が5.3%となっている。「これまでに滞納者が発生したことがない」は10.9%となっている。完成年次別では、完成年次が新しくなるほど各措置の実施割合は低くなる傾向にある。総戸数規模別では、総戸数規模が大きくなるほど各措置の実施割合は高くなる傾向にある。
補足│管理会社の滞納者への督促業務
マンション管理組合と管理会社との管理委託契約書には、管理費の督促に関する業務について具体的にその内容が記載されてるのが一般的です。契約内容を確認すると、多くの場合では、管理費や修繕積立金の未納者に対する督促業務には期限が設けられています。
内容を確認するとほとんどの場合、滞納が生じた月から6ヶ月が経過するまでは管理会社が滞納者に対する督促業務をおこない、その後の対応は、管理組合がおこなうことになってます。これは、国土交通省が作成した「管理委託契約書」の雛形である「標準管理委託契約書」の内容に準じています。
滞納者への督促業務は理事の仕事
滞納者への督促業務は管理会社の仕事と考える役員(理事)も多いようですが、実際には一定期間経過すれば理事会の仕事になります。
理事がおこなう管理費等の滞納者への対応では、そのマンションに実際に住んでいる人に管理費を支払うよう直接訪問をおこなったり、それでも支払いがない場合には裁判につながるケースもあります。
特に役員(理事)と滞納者は同じ建物に暮らす者同士の問題ですので、理事会の業務として滞納問題にかかわる場合には、特に理事長や役員の負担は大きくなります。
役員(理事)は、滞納者への対応は、一定期間経過後は、管理会社任せではなく、理事会が中心となっておこなう必要があることを理解する必要があります。
この記事のまとめ
1,2ヶ月といった短期間の未納も含めれば、実際には、さらに多くのマンションで「管理費」や「修繕積立金」の滞納者がいることになります。「管理費」や「修繕積立金」はマンションを維持、管理するための重要な費用ですので、滞納者が増えることは管理組合にとって重大な問題です。
滞納者への対応は理事会が中心となっておこなうものですが、まずは管理費等の滞納発生の有無等を管理会社の担当者(フロントマン)と情報交換をしながら速やかに「把握」「対応」することで長期の滞納者を発生させないことが重要です。