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マンション管理会社が「いい加減」だと感じたら適正化法違反を疑う

マンション管理適正化法違反管理組合向け
管理組合向け
マンション管理適正化法は、主にマンションの管理会社の業務の規制などを定めた法律です。理事会で管理会社の業務の業務に不信感を抱いた場合などには、管理会社が適正化法違反をおこなっていないか確認をおこないましょう。今回は、マンション管理適正化法について学んでいきます。

マンション管理適正化法とは?


マンションの管理適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)では管理組合が管理会社を安心して利用できるように「管理業者の登録制度」や「マンション管理業者の義務に関して業務規制」が設けられています。また、マンションション管理士制度を定めマンション適正に管理するためのサポート体制について規定しています。

【マンション管理適性化法】第1章[総則]第1条(目的)
この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律-国土交通省

マンション管理適正化法の2つの重要なルール

ルール1│マンション管理会社の登録制度

マンション管理適正化法のもとマンション管理会社の登録制度が設けられました。マンション管理会社の登録制度が設けられた背景には、管理組合と管理会社とのトラブルが多発していたことがあげられます。マンション管理組合のほとんどが管理業務をマンション管理会社に委ねていることから、マンション管理会社も一定の資格要件を満たした業者に限定する必要性が生じます。こうした諸事情を背景として、マンション管理業を営もうとする場合は、国土交通大臣に届け出をおこなうことが義務となりました。

ルール2│マンション管理会社の業務規制

マンション管理会社の業務内容に規制が設けられました。マンション管理会社のトラブルの原因の主だったものとしては、修繕積立金など管理組合の財産の管理にまつわるトラブル、管理委託契約の内容の説明不足によるトラブル、管理委託契約書や重要事項説明書など書面交付に関するトラブルなどが挙げられます。
特に重要な管理組合の財産の管理に関してはこれまでより厳格になり、修繕積立金など管理組合の財産管理の方式などの規制が設けらています。

マンション管理業者の業務規制の概要

  1. 管理業務主任者の設置
    管理業務主任者の国家試験に合格した者で、管理事務に関し一定の期間以上の実務経験を有するものは、国土交通大臣の登録を受けて、管理業務主任者証の交付を受けることができます。
  2. 標識の掲示
    マンション管理業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に国土交通省で定める標識を掲げなければなりません。
  3. 重要事項説明と書面交付
    管理組合と管理事務の委託に関する契約の締結および更新をしようとする時は、予め管理業務主任者が、管理等に対して、管理委託契約の内容等の重要事項の説明を行わなければなりません。

    ■ 従前と異なる内容の委託契約を締結しようとする場合

    契約を締結する前に、予め説明会を開催し、区分所有者等および当該管理組合の管理者等に対して、重要事項の説明を行うことになります。その説明会の日の一週間前までに、区分所有者全員および管理者に対して、重要事項および説明会の案内(日時・場所等を記載)の書面を交付することとなります。

    ■ 従前と同一の内容の委託契約を締結しようとする場合

    契約を締結する前に、予め管理者等に対して、重要事項の説明および書面の交付を行うとともに、区分所有者等全員に重要事項の書面を交付することとなります。

  4. 契約成立時の書面の交付
    管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結した時は、当該管理組合の管理者等に対し、遅滞なく、管理業務主任者の記名押印のある一定の事項を記載した書面を交付しなければなりません。
  5. 再委託の制限
    管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、一括して他人に委託することができません。
  6. 財産の分別管理
    管理組合の修繕積立金等の財産については、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければなりません。
  7. 管理事務の報告
    定期に、マンションの管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理事務に関する報告をしなければなりません。
  8. 書類の閲覧
    マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
  9. 秘密保持義務
    マンション管理業者及びその使用人その他の従業員は、業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。
  10. 監督処分
    マンション管理業者は、上記の業務に違反すると、国土交通大臣から業務停止命令、登録の取消し等の処分を受けることとなります。

補足│マンション管理会社のが違反行為の罰則について

マンション管理会社による「マンション管理適正化法」に対する違反行為があった場合の処分規定が国土交通省によって設けられています。

マンション管理会社がマンション管理適正化法を遵守することは重要ですが、国土交通省が全国のマンション管理業者のうち145社に対し、平成29年10月から概ね3ヶ月の間に、事務所等への立入検査を行った結果、55社に対して是正指導を行う結果になりました。残念ながら指導率は37.9%と、まだまだ適正化法違反が多数見受けられます。

<平成29年度マンション管理業者への全国一斉立入検査結果より>

国土交通省による立入り検査の結果

適正化法条項是正指導社数
管理業務主任者の設置(第56条関係)4社
重要事項の説明等(第72条関係)34社
契約の成立時の書面の交付(第73条関係)27社
財産の分別管理(第76条関係)18社
管理事務の報告(第77条関係)17社

参照 マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準について – 国土交通省

この記事のまとめ

現在、日本人の約1割がマンションで生活を営んでいることになります。この割合は年々増加傾向にあるとともに、都市部に限って見ると、この比率はさらに高いものとなります。こうした背景からマンション管理適正化法が制定されたことにより、制定前に比較して、マンション管理組合は安心して管理会社を利用できるようになったのは事実です。しかし、一部の悪質な管理会社や、担当者(フロントマン)の経験不足などにより、マンション管理適正化法違反は未だにみられます。管理組合の理事になった場合には、この法律の概要について一通り目を通して、管理会社の業務が適切におこなわれいるか確認することも重要なことです。
管理組合向け
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