令和2年度
マンション管理士試験
問 題
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意事項)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから31 ページまでの50 問です。
2 試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。
もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
3 解答は、別の解答用紙に記入してください。解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5 問題中法令等に関する部分は、令和2年4月1日現在において施行中の規定に基づいて出題されています。
問題及びこのページの中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義については、各問題において特に記述している場合を除いて以下のとおりとします。
・「区分所有法」………………… 建物の区分所有等に関する法律(昭和37 年法律第69 号)
・「被災マンション法」………… 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43 号)
・「マンション管理適正化法」… マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12 年法律第149 号)
・「標準管理規約」……………… マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(単棟型)コメント(最終改正平成29 年8 月29 日国住マ第33 号)
・「マンション」………………… 「マンション管理適正化法第2条第1号イに規定するマンション」をいう。
・「管理組合」…………………… 「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」をいう。
・「管理組合法人」……………… 「区分所有法第47 条第1項に規定する法人」をいう。
・「団地管理組合」……………… 「区分所有法第65条に規定する団地建物所有者の団体」をいう。
問1
規約共用部分及び規約敷地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 マンション内に、上層階専用、下層階専用の二基のエレベーターがあり、それぞれが一部共用部分である場合に、その大規模修繕については、区分所有者全員の規約で定め、清掃等の日常の管理や使用方法については、区分所有者全員の利害に関係しないものとしてそれぞれ上層階、下層階の区分所有者の規約で定めることができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の3以上で、かつ、議決権の4分の3以上の賛成を要する。
3 未利用の規約敷地の一部について、特定の区分所有者に対して特に有利な条件で、かつ、排他的に使用収益をする権利を規約で設定する場合には、その集会の決議に当たり、他の区分所有者全員の承諾を得なければならない。
4 建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、規約に別段の定めがない限り、専有部分との分離処分が禁止される。
- 解答
- 2
問2
甲マンション管理組合Aの組合員であるBが所有する住戸部分をCに賃貸していたところ、当該住戸の道路側の外壁タイルが自然に落下して、通行人Dが負傷した。この場合に関する次の記述のうち、民法(明治29 年法律第89 号)及び区分所有法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Dは、土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって損害を被ったとして、その工作物の共用部分の所有者である区分所有者全員に対して、その共有持分の範囲で分割債権として損害賠償請求することになる。
2 Cが、共用部分の維持管理に関与できる立場になく、損害の発生を防止するのに必要な注意を払う義務がない場合には、Dは、Cに対して損害賠償請求をすることはできない。
3 外壁タイルの落下原因が、大規模修繕工事において外壁タイル工事を実施した工事業者の施工不良にあっても、A及びAを構成する区分所有者全員が、Dに対して損害賠償責任を負うことになる。
4 甲マンションの建設当時から、建物としての基本的な安全性を欠いていることが原因である場合には、建物の建築を担った設計士、施工業者、工事監理者は、特段の事情がない限り、Dの損害について、それぞれ連帯して不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになる。
- 解答
- 1
問3
総会の招集について説明した次の文章について、区分所有法の規定及び判例によれば、〔 ア 〕~〔 エ 〕の中に入るべき用語の組合せとして、適切なものはどれか。
総会の招集通知においては、通常は、〔 ア 〕を示せば足りますが、〔 イ 〕など一定の重要事項を決議するには、そのほかに〔 ウ 〕をも通知するべきであるとされています(区分所有法第35 条第5項)。その趣旨は、区分所有者の権利に重要な影響を及ぼす事項を決議する場合には、区分所有者が予め十分な検討をした上で総会に臨むことができるようにするほか、〔 エ 〕も書面によって議決権を行使することができるようにして、議事の充実を図ろうとしたことにあると考えられます。そのような法の趣旨に照らせば、前記〔 ウ 〕は、事前に賛否の検討が可能な程度に議案の具体的内容を明らかにしたものである必要があるものと考えられます。
- 解答
- 1
問4
区分所有する者が複数名である甲マンションにおいて、区分所有者Aが管理者である場合の管理者の立場等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、やむを得ない事由があるときでなければ、管理者としての事務を第三者に委任することはできない。
2 Aは、管理者としての事務を処理するについて費用を要するときは、管理組合に対して事務処理費用の前払いを請求することができる。
3 Aは、甲マンションの敷地が区分所有者の共有又は準共有に属しない場合には、敷地に関して、これを保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権限を有しない。
4 Aがその職務を行うため自己の過失なくして損害を受けたときは、Aは、委任の規定に従い、管理組合に対してその賠償を請求することができる。
- 解答
- 1
問5
法人でない管理組合の規約の保管及び閲覧に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 規約は、管理者がいる場合には管理者が、管理者がいない場合には、現に建物を使用している区分所有者又はその代理人の中から、規約又は集会の決議によって保管する者を定めて保管しなければならない。
イ 規約を保管する者は、建物内の見やすい場所に保管場所を掲示し、利害関係人の閲覧請求に対して、正当な理由なしに、規約の閲覧を拒んではならない。
ウ 区分所有権を第三者に譲渡して移転登記も済ませた者は、利害関係を有する閲覧請求権者には該当しない。
エ 規約を電磁的記録で作成・保管している場合は、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものを閲覧させる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
- 解答
- 4
問6
甲マンション管理組合法人の解散事由に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 甲マンション建物の全部滅失
イ 分譲業者Aによる甲マンションの全区分所有権の買取り
ウ 甲マンション管理組合法人の破産手続開始決定
エ 集会における区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数決決議
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
- 解答
- 2
問7
甲マンション101 号室の所有者Aが死亡し、遺産分割協議によって同室は長男Cの単独所有とされた。同室についてはAが遺言でAと同居していた妻Bのために配偶者居住権を設定しており、Aが死亡した後にも、Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて同室の居住を継続している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bは、会議の目的たる事項に利害関係を有していれば、甲マンションの集会に出席して意見を述べることができる。
2 甲マンションの集会で決議された規約のうち、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法に当たらない事項に関する定めについては、Bにはその効力は及ばない。
3 Cは、101 号室に係る固定資産税を、納付期限が迫っていたため自ら納付したが、これについてはBに対して求償することができる。
4 Bが建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行っていた場合には、甲マンションの管理組合は、集会の決議によってBの配偶者居住権を消滅させることができる。
- 解答
- 4
問8
マンションにおいて共同の利益に反する行為をした義務違反者に対する措置に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 共同の利益に反する行為の停止の請求、専有部分の使用の禁止の請求、区分所有権の競売の請求及び占有者に対する専有部分の引渡し請求は、いずれも訴えをもってしなければならない。
2 占有者が共同の利益に反する行為をした場合には、占有者に対して、専有部分の引渡しを請求することはできるが、その行為の停止を請求することはできない。
3 規約に定めがあれば、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会における決議を経ることなく、専有部分の使用の禁止の請求をすることができる。
4 区分所有権の競売の請求が認められた場合に、その判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。
- 解答
- 4
問9
共用部分及び敷地の共有持分の割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなるマンション(この問いにおいて「甲マンション」という。)が地震によって滅失した場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。ただし、同地震は、被災マンション法に基づいて政令の指定を受けた大規模災害ではないものとする。
ア 甲マンションの全部が滅失した場合には、A、B、C及びDのいずれの者も、他の者に対し、甲マンションの敷地について、分割を請求することができる。
イ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1を超える部分に相当する部分の滅失である場合に、復旧に反対した区分所有者Aは、復旧に賛成した区分所有者の全員に対して、Aの建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるが、復旧に賛成した区分所有者のいずれか一人に対して請求することもできる。
ウ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、共用部分の復旧は常に集会の決議によるものとし、区分所有者単独での共用部分の復旧は認めないとする旨の規約を設定することはできない。
エ 甲マンションの滅失がその建物の価格の2分の1以下に相当する部分の滅失である場合において、区分所有者Bが自己の専有部分の復旧の工事に着手するまでに復旧の決議があったときは、Bは、単独で専有部分の復旧をすることはできない。
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
- 解答
- 1
問10
一筆の敷地上に、甲棟、乙棟及び丙棟があり、いずれの棟も専有部分のある建物である。また、敷地は区分所有者全員で共有している。この場合において、甲棟を取り壊し、かつ、従前の甲棟の所在地に新たに建物を建築すること(この問いにおいて「甲棟の建替え」という。)についての、団地管理組合の集会における建替え承認決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲棟の建替えは、他の棟の建替えに特別の影響を及ぼさないものとする。
1 団地管理組合の集会において建替え承認決議を行う場合には、団地管理組合の規約で別段の定めがある場合にも、規約で定められる議決権割合ではなく、敷地の持分の割合によって決議の成否が判定される。
2 甲棟の建替えを実施するためには、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による建替え承認決議を得なければならない。
3 団地管理組合の集会において建替え承認決議を行う場合には、集会を招集した者は、集会の会日より少なくとも1月前までに、団地内建物所有者に対し建替えに関する説明会を開催しなければならない。
4 甲棟の建替え決議が適法に成立したときには、甲棟の建替え決議において甲棟の区分所有者Aが建替えに反対をしていたとしても、その後の団地管理組合の集会における甲棟についての建替え承認決議においては、Aはこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなされる。
- 解答
- 3