リスクに備えてマンション共用部分に保険を付保する
マンション管理組合では、想定外の事態に備えてマンションの共用部分や附属施設を対象としたマンション総合保険に加入して、リスクに備えるのが一般的です。標準管理規約では「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険その他の損害保険契約を締結することを承認する」と定める他、「理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。」とあらかじめ定めています。
管理規約に保険への加入が記載
標準管理規約では、損害保険に関する規定を置き(第24条)「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険その他の損害保険契約を締結することを承認する」と定める他、火災が発生した場合等において迅速かつ円滑に管理組合として復旧等の手続きを進められるよう、理事長が保険金額の請求・受領について、区分所有者を代理する旨をあらかじめ定めています。
【標準管理規約】第5章[管理]第24条(損害保険)
区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する。
2 理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。
マンション管理標準指針でも加入が勧められている
マンション管理標準指針でも、標準的な対応として「管理組合が、マンションの構造、築年数、区分所有者の要望等を勘案し、適切な火災保険その他の損害保険を付保している。」として、管理組合として火災保険等に加入するのがあたり前と位置づけています。
【マンション管理標準指針】[損害保険付保]
コメント一部抜粋
火災等に見舞われた際に共用部分の復旧を行う場合や、共用部分からの水漏れ等に対する損害賠償を行う場合には、管理組合の財産からそのための支出を行うことが必要となります。しかし、こうした支出の際にその都度一時金を徴収して対応したり、共用部分に起因する損害賠償を行う際等に修繕積立金等の管理組合財産から支出することは、合意形成が困難になる場合があること、あるいは、合意形成に要する時間がかかるため迅速な対応が困難となるなどの問題があります。そのため、こうした場合を想定して、管理組合が、マンションの構造、築年数、区分所有者の要望等を勘案し、適切な火災保険その他の損害保険を付保していることが重要となりますので、これを「標準的な対応」としました。
マンション管理組合が締結している損害保険契約
平成30年度マンション総合調査によると、管理組合が締結している損害保険契約は、「掛け捨て型火災保険」が『69.1%』、「積み立て型火災保険」が『22.2%』で、合計『91.3%』が火災保険契約を締結しています。
マンション総合保険の主契約における基本補償
マンション管理組合が加入するマンション総合保険は、一般的に火災や落雷、爆発などによる建物被害といった基本補償のほか、区分所有者や管理組合が賠償責任を負った場合に保険金が出る賠償責任保険がセットになっています。この賠償責任保険が適用される事故の大半を占めるのが給排水管からの漏水で事故で、下階の住戸の壁紙の復旧や家財の補償などに保険金が充てます。老朽化したマンションほど漏水リスクが高まるため、ここ数年、築年数の経過による保険料の値上げが相次いでいます。
オプションの代表 施設賠償保険と個人賠償保険
基本補償に加えて、多くのマンションで加入するオプション保険の代表的なものとしては「施設賠償保険」と「個人賠償保険」が挙げられます。その他のオプション補償として、地震保険も近年よく知られるようになりました。
施設賠償保険
施設賠償保険というのは、マンションに附属している設備の使用や管理などに起因する偶発的な事故によって、誰かが怪我をしたり、物品を損壊した場合などの損害を補償する保険のことを指します。手すりにもたれたら、それが壊れていて、人が転落してしまった!こんな場合には施設賠償保険を使うことになります。
個人賠償保険
個人賠償保険というのは、基本的に人対人に関する損害を補償する保険を指します。上階で洗濯パンが外れてしまい、階下に水漏れ被害が発生した場合などがその典型です。また、ペットが誤って通りかかった人に咬みついてケガを負わせてしまった!などという場合も個人賠償保険を使って損害賠償金を補償します。