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マンション総合調査は国土交通省が実施の管理組合が参考にすべき資料

管理組合向け
管理組合向け
  1. 平成25年度マンション総合調査結果報告書(一部抜粋)
    1. マンションに暮らす世帯主の年齢に関するデーター
    2. マンションに暮らす方の永住意識の変化に関するデーター
    3. マンション選定時の入居後の共用部分の維持管理に対する考慮
    4. 分譲マンションにおける賃貸戸数の割合
    5. 分譲マンションにおける空室戸数の割合
    6. 管理規約及び細則等の作成状況
    7. 管理規約の改正状況
    8. 管理規約の周知状況
    9. マンション標準管理規約の認知状況及び準拠状況
    10. 月/戸当たり管理費
    11. 月/戸当たり修繕積立金
    12. 管理費等の額の妥当性
    13. 会計監査の実施状況
    14. 管理費等の滞納状況
    15. 管理事務の実施状況
    16. 管理事務を管理業者に委託することへの意向
    17. マンション標準管理委託契約書への準拠状況及び管理委託契約内容の認知状況
    18. 管理状況全般の満足度
    19. 長期修繕計画の作成状況
    20. 長期修繕計画の計画期間
    21. 修繕積立金の算出根拠
    22. 大規模な計画修繕工事の実施状況
    23. 耐震診断・耐震改修の実施状況
    24. 耐震性についての考え
    25. 建替えの検討状況
    26. マンションの老朽化問題についての対策
    27. 建替えの必要性について
    28. 総会への出席状況
    29. 総会議事録の広報及び閲覧
    30. 役員の選任方法及び任期
    31. 管理者の選任
    32. 役員報酬の支払い状況
    33. 理事会の開催状況
    34. 専門委員会の設置状況
    35. 組合員名簿等の作成及び閲覧状況
    36. 大規模災害への対応状況
    37. 防犯対策の実施状況
    38. 専門家の活用状況
    39. トラブル(過去1年間)の発生状況
    40. 居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容
    41. トラブルの処理方法
    42. 管理に関して取り組むべき課題
    43. マンションの管理・運営に疑問を持ったときの相談先
    44. 管理組合運営における将来への不安
  2. この記事のまとめ

平成25年度マンション総合調査結果報告書(一部抜粋)

マンションに暮らす世帯主の年齢に関するデーター


平成11年度から平成25年度までの推移をみると、60歳代、70歳代以上の割合が増加しています。比較して50歳代以下の割合が減少しておりマンション住人の高齢化が進んでいることはあきらかです。
高齢化対策を今から進めていくことが必要です。

マンションに暮らす方の永住意識の変化に関するデーター


前回調査と比較しても、永住するつもりの方は、49.9%から52.4%へと増加していることから、マンション居住者の永住意識は高まる傾向にあることが読み取れる。以前はマンションを仮の住まいと考えていたが、今では、マンションを終の棲家として考えています。マンション管理の重要性が高まっている現状がみえます。

マンション選定時の入居後の共用部分の維持管理に対する考慮

「平成22年以降」では、考慮した割合は46.7%であり、考慮しなかった割合37.3%を上回っています。 考慮した事項については、「優良なマンション管理業者であること」が 41.7%と も多く、次いで「管理費及び修繕積立金の額が十分であること」が41.2%となっています。マンションを購入するときに、マンション管理の重要性が認知されてきたが、それでも購入後の管理体制について、考慮しない購入者が多くいることにおどろきます。

分譲マンションにおける賃貸戸数の割合


賃貸戸数割合が20%を超えるマンションが18.2%の割合で存在する。(ちなみに賃貸戸数割合の平均は13.7%、賃貸戸数は、築年数が古くなるほど高くなる傾向にある)マンションに賃貸住戸が増えると、モラルの低下や理事のなり手不足の問題が顕著となります。管理組合としては、賃貸戸数がマンション内でどの程度なのか把握することが、まずは必要です。

分譲マンションにおける空室戸数の割合


このグラフを見る限りでは、明確に空室が増えているとは断言できない。マンションに空室が増えると、治安の問題や管理費の滞納などの問題につながりやすい。管理組合としては、まずは、空き戸数の状況を把握し、空き戸数が増えるようであれば、マンションの魅力が増すような対策を早めに行うことが大切です。

管理規約及び細則等の作成状況

当然の結果ではありますが、管理規約がある管理組合は98.4%、使用細則・協定等がある管理組合は93.8%とほとんどのマンションで、管理規約、使用細則が整備されています。しかしながら、未だに管理規約がないマンションからの問い合わせがあるのも事実です。そういったマンションでは、至急マンション管理士などの専門家に管理規約の作成を依頼することが必要です。
定めている使用細則・協定等の種類では、「駐車場」が78.8%と も多く、次いで「専有部分に係る使用・居住」が75.3%、「専有部分の修繕等」が70.2%、「自転車置場・バイク置場」が67.0%、「ペット飼育」が62.9%となっています。今後は、名簿の取り扱いに関する細則や、要援護者名簿に関する細則の整備が進んでいくでしょう。

管理規約の改正状況

改正したことがある管理組合は 71.8%です。管理規約は、法改正や、マンションの事情にあわせ定期的に見直してください。

管理規約の周知状況

購入時に管理規約を読んだ区分所有者は 81.6%です。取得時期が新しくなるほど管理規約を読んだ区分所有者の割合は高くなる傾向にあります。現在の管理規約は91.5%の区分所有者が認知しています。
マンションの管理規約のすべてを把握するのは、一般の居住者には難しい。マンションの部屋の売買があったときなど、マンションのルールが新所有者につたわるように、管理規約の重要な部分をまとめた簡単な冊子などを渡す仕組みをつくるとよい。

マンション標準管理規約の認知状況及び準拠状況

マンション標準管理規約の平成23年改正の認知状況については、「改正された標準管理規約を知っている」が48.8%、「標準管理規約のことを知らない」が33.4%となっています。
マンション標準管理規約への準拠状況については、「改正後の標準管理規約に概ね準拠している」が48.4%です。
マンション標準管理規約に管理規約を、必ずしも一致させる必要はないが、管理規約を改正する場合などには、参考にすべき資料です。

月/戸当たり管理費

駐車場使用料等からの充当額を含む月/戸当たりの管理費の総額の平均は 15,257 円で、総戸数規模が大きくなるほど低くなる傾向にあります。
駐車場使用料は、修繕積立金に組み入れるのが理想ではあるが、一般的には管理費会計に充当されることが多い。
総戸数規模が大きくなれば、それだけスケールメリットにより低くなる傾向があります。このデーターと比較して、著しく差がある場合には、資金計画が正常か確認すべきです。

月/戸当たり修繕積立金


駐車場使用料等からの充当額を含む月/戸当たり修繕積立金の総額の平均は11,800円です。
このデーターと比較して、著しく差がある場合には、今後の資金計画が正常か確認すべきです。
高過ぎる場合には、当然各区分所有者の負担となり、一方低すぎる場合にも、大規模修繕工事の際に資金不足となって、一時負担金の徴収が必要となる場合があります。

管理費等の額の妥当性


「不足している」が管理費について4.8%となっています。修繕積立金について16.0%となっているので、管理費の方が不足していると考える割合は少ない。
「徴収しすぎである」、「積立てしすぎである」の割合は、管理費について10.3%、修繕積積立金5.9%となっています。

会計監査の実施状況

収支決算案の監査を行っている管理組合は93.6%です。
収支決算案の監査の内容は、「収支決算書案と領収書、請求書等、証拠帳票との照合」が82.7%であり、会計監査の実施者は、「区分所有者の監事」が95.1%となっています。
マンションの会計を専門としていない区分所有者の監事が、正確な監査をすることは無理があります。一般的な規模のマンションが、マンション管理士等の外部の専門家に監査を依頼するのも金銭的に難しいことから、やはり信頼できる管理会社に会計業務を依頼した上で、監事ができる限り、決算資料に目を通すしかないでしょう。

管理費等の滞納状況


完成年次が古くなるほど、また総戸数規模が大きくなるほど、滞納住戸がある管理組合の割合が高くなる傾向にあります。
平成20年度と平成25度を比較すると、管理費等の滞納が発生しているマンションの割合は減少しています。このグラフを見る限りでは、一般的に言われているような管理費の滞納が増えているという顕著な推移はみられません。マンション内で管理費の滞納を増やさないためには、管理組合が滞納の状況を把握し早めに対応をすることです。管理組合と管理会社と連携を取りながら、滞納状況については毎月の理事会の議題としましょう。

管理事務の実施状況

「基幹事務を含め管理事務の全てをマンション管理業者に委託」が72.9%、「管理組合が全ての管理事務を行っている」が6.3%です。マンション管理業者の決定方法については、「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者である」が75.8%です。今後は、高齢化によるマンションの理事のなり手不足などにより「管理組合が全ての管理事務を行っている」自主管理のマンションなどでは理事の負担が大きくなっていきますので、マンション管理士等の専門家による理事長代行なども選択肢のひとつになるでしょう。

管理事務を管理業者に委託することへの意向

「マンション管理業者に任せても良いが、その方針は出来る限り管理組合で決めるべきである」が78.8%、「マンション管理業者に全て任せた方が良い」が13.8%となっています。マンション管理の主体は管理組合という大原則ですが、費用負担が増えても信頼できるマンション管理会社に全部お任せすべきだというニーズもあります。こうしたマンションでは、管理組合運営を管理会社任せにならないように、マンション管理士などに理事長代行方式による管理組合運営なども選択肢のひとつとして検討するのも良いでしょう。

マンション標準管理委託契約書への準拠状況及び管理委託契約内容の認知状況

マンション標準管理委託契約書への準拠状況については、「概ね準拠している」が88.8%となっており、管理委託契約内容の認知状況については、「だいたい知っている」が55.5%、「よく知っている」が19.9%で、合計75.4%の区分所有者が知っています。
各マンションには、マンション固有の事情があるわけですから、標準管理規約に、一部の法改正にあわせて改正された部分を除き、必ずしも合わせる必要はありません。標準管理規約は、管理規約を改正する場合には、参考にすべき資料です。

管理状況全般の満足度

「非常に満足している」が24.2%、「やや満足している」が36.9%で、合計61.1%の区分所有者が現状の管理に満足しており、その理由は、「マンション管理業者が良いので」が 55.7%と も多く、次いで「管理員が良いので」が39.8%、「管理組合役員が熱心なので」が39.3%となっています。一方、不満であると回答した理由は、「一部の居住者の協力が得られにくいので」が50.7%とも多く、次いで「管理組合役員が不慣れなので」が28.3%、「マンション管理業者が良くないので」が21.0%となっています。
管理員も含め、管理の満足度は、管理会社の業務の質に比例する傾向があります。信頼できるマンション管理会社に業務を依頼することがマンションの暮らしの質をあげるためには重要なことです。

長期修繕計画の作成状況


昭和62年度から平成25年度の変化をみると、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は増加傾向にあり89.0%と、前回調査と同値です。長期修繕計画を作成することは、修繕積立金の適正な額を算出するためにも絶対に必要となります。

長期修繕計画の計画期間

「26~30 年」が 35.4%と も多く、次いで「31 年以上」が 21.8%です。計画期間の平均は26.0年であり、完成年次が新しくなるほど長くなる傾向にあります。長期修繕計画は、計画期間の長さも重要ですが、それ以上に5年毎を目安に定期的に見直すことが大切です。

修繕積立金の算出根拠


「長期修繕計画で算出された必要額に基づき決めた」が79.5%と 最も多くなっています。長期修繕計画に基づいて修繕積立金を算出しているマンションの割合は増加しています。修繕積立金は、長期修繕計画により今後掛かるであろう費用を算出し、資金シミュレーションをおこない決めるものです。管理費の額を、設備や規模の違う他のマンションの例を参考にしても適正な金額を導き出すことは不可能です。

平成15年度から平成25年度の変化をみると、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は増加しています。平成25年度は46.0%で、平成20年度の36.6%に比べ高くなっています。

大規模な計画修繕工事の実施状況

大規模な計画修繕工事の際に行った工事項目の実施割合は、「外壁塗装」が90.3%と も多く、次いで「鉄部塗装」が 82.9%、「廊下・バルコニー防水」が 81.7%、「屋上防水」が78.9%、「タイル補修」が63.7%となっています。

耐震診断・耐震改修の実施状況


旧耐震基準に基づき建設されたマンションのうち耐震診断を行った管理組合が 33.2%、行っていない管理組合が58.0%です。耐震診断を実施したもののうち「耐震性がないと判断された」割合は 32.6%であり、このうち耐震改修工事を「実施した」が33.3%、「まだ実施していないが今後実施する予定」が47.6%、「実施する予定はない」が19.0%となっています。
旧耐震基準に基づき建設されたマンションのうち耐震診断を行った管理組合が33.2%、行っていない管理組合が58.0%です。耐震診断を実施したもののうち「耐震性がないと判断された」割合は32.6%であり、このうち耐震改修工事を「実施した」が33.3%、「まだ実施していないが今後実施する予定」が47.6%、「実施する予定はない」が19.0%となっています。

耐震性についての考え

53.0%の区分所有者が不安があるとしており、このうち「地震の不安はあるが、今のままで仕方ない」の割合が21.2%、「大規模な地震の場合は被害を受けると思うので不安だ」が18.4%、「耐震性が確保されているかわからないので不安だ」が13.4%となっています。

建替えの検討状況

建替えの方向での具体的な議論の状況は、建替えに向けて「一定の方向性は決定したが、建替えは決定していない(検討継続中)」が 36.4%、「建替えを目指して検討しているが、管理組合の方向性を決定するには至っていない(検討継続中)」が 13.6%と、半数が検討継続中となっています。
建替えを円滑に実施して行く上での問題としては、「建替え資金の調達が困難な区分所有者がいる」が 40.9%と も多く、次いで「現在のマンションに愛着があり建替えに反対する区分所有者がいる」が 36.4%、「仮住居の確保が困難な区分所有者がいる」が 31.8%となっています。

マンションの老朽化問題についての対策


マンションの老朽化問題についての対策の議論を行っている管理組合は35.9%となっており、そのうち「建替えの方向で具体的な検討をした」が2.6%、「修繕・改修の方向で具体的な検討をした」が62.0%、「議論はしたが、具体的な検討をするに至っていない」が30.5%となっています。

建替えの必要性について

区分所有者の建替えの必要性に対する考えについては、「建物が相当老朽化又は陳腐化しているので建替えが必要である」が 4.9%となっています。一方、「建物が相当老朽化又は陳腐化しているが、修繕工事又は改修工事さえしっかり実施すれば建替えは必要ない」が 30.0%、「建物は老朽化も陳腐化もしていないため、今のところ建替えは必要ない」が64.0%となっています。

総会への出席状況

直近の通常総会への区分所有者(委任状及び議決権行使書提出者を含む)の概ねの出席割合の平均は79.4%です。この79.4%には、委任状及び議決権行使書提出者を含んでおり、実際に会場に足を運んだ、直近の通常総会への区分所有者(委任状及び議決権行使書提出者を除く)の出席割合の平均は 34.8%です。通常総会は、マンションの今後を決める大切な場です。少なくとも出席割合は50%以上を目指したい。出席率をあげるのは簡単ではありませんが、総会の後に懇親会を開催したり、消費期限が迫った備蓄食料を配るといった工夫が必要です。

総会議事録の広報及び閲覧

90.6%の管理組合が総会議事録の広報を行っており、広報の方法は、「各戸配布」が72.0%と も多く、次いで「掲示板」が16.9%となっています。総会の議事録については、すべての組合員が閲覧することは当然のことですが、掲示板での広報については、組合員以外の第三者が閲覧できてしまうため、各戸配布などの方法が望ましいでしょう。

役員の選任方法及び任期

管理規約において選任できる役員の範囲については、「居住の組合員」が 92.6%、「居住組合員の同居親族」が20.4%、「居住していない組合員」が18.9%、「賃借人」が3.3%となっています。理事のなり手不足が顕著になってきていることから、役員の範囲を広げ、居住していない組合員まで増やすことは致し方ないが、本来であれば実際にマンションで暮らしている方が理事になった方がマンション固有の事情を把握していることから望ましいでしょう。
役員の任期については、「1年」が 59.6%と も多く、次いで「2年」が 35.4%となっています。役員の改選人数については、「全員同時期に改選」が59.2%、「半数ごとの改選」が24.7%となっています。理事会業務の継続性を考えれば、役員全員を入れ替えるより、半数ごとの改選が望ましいでしょう。役員の選任方法については、「順番」が72.7%、「立候補」が32.3%となっています。

管理者の選任


管理者の選任状況をみると、88.2%が区分所有者の理事長であり、区分所有者以外の第三者が管理者となっているマンションは6.0%となっています。現状、マンション管理士等の専門家が管理者となっているマンションは、投資用マンションや、リゾートマンションがほとんどでしょう。
マンション管理士等の専門家が理事長に選任する方式は、今後、役員のなり手不足の問題などを解消するための選択肢として、一般的なファミリーマンションなどにも広まっていくでしょう。
しかしながら、マンション管理会社が管理者となることは問題があります。管理会社と管理組合は利益相反関係であることから、そのあたりを規制する法整備が必要です。

役員報酬の支払い状況

「報酬は支払っていない」が 73.1%で も多く、次いで「役員全員に報酬を支払っている」が20.6%となっています。防火管理者に関しては、資格取得の手間と費用が掛かることから、報酬を払うのが一般的だが、役員に関しては報酬がないマンションが多い。
各役員一律の場合の役員の報酬額平均は2,600円/月です。役員報酬が役員一律でない場合の報酬額平均は、理事長が9,200円/月で、理事が4,400円/月、監事が4,100円/月です。理事長については、管理会社とのやり取りなど、他の役職に比べて負担が多いのは事実であることから、報酬に差をつけるのもひとつのやり方です。

理事会の開催状況

「月に1回程度開催している」が 48.5%と も多く、次いで「2ヶ月に1回程度開催している」が20.7%となっています。管理会社の担当者は、自らの業務の負担を減らすために、理事会の開催頻度を減らすように誘導する傾向があります。継続性をたもつためにも最低でも2ヶ月に1度。理想としては、やはり月に1度は理事会を開催すべきです。

専門委員会の設置状況

「設置している」が30.3%、「設置していない」が66.4%であり、当然の事ながら、規模が大きいマンションほど設置している割合が高くなっています。小規模なマンションでは、理事のなり手も不足している状況のなかで、さらに専門委員会の設置は困難でしょう。
設置している専門委員会の種類については、「大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会」が83.4%と も多く、次いで「規約・細則の制定や見直しに関する委員会」が19.2%、「防災に関する委員会」が 18.2%となっています。
「大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会」については、大規模修繕工事の前に、マンション内でハードに詳しい方に呼びかけをして、工事が終わるまでの期間限定で活動していただくのが一般的なマンションでしょう。

組合員名簿等の作成及び閲覧状況

「組合員名簿及び居住者名簿がある」が78.8%で も多くなっています。一方、「いずれもない」は8.4%であり、完成年次が新しくなるほど高くなる傾向にあります。組合員名簿を作成しない理由については、「管理会社が名簿を保有しているから」が 50.0%と も多く、次いで「個人情報でありその取扱いに苦慮するため」が3.9%、「今まで作成していないから」が30.6%となっています。
組合員名簿については、管理組合での保管が絶対に必要です。管理会社だけが保管していたのでは、管理会社の変更など管理会社にとって不利な総会の開催などで、名簿を利用させないなどのケースがあるからです。また、居住者名簿や要援護者名簿などを含め、大地震などの災害などに備え、管理組合での名簿の保管が必要でしょう。

名簿に関する細則の制定の際には、「マンション管理センター」発行
マンション管理組合で作成する名簿の取扱いに関する細則について」が非常に参考になります。

大規模災害への対応状況


「定期的に防災訓練を実施している」が 37.7%で も多く、次いで「特に何もしていない」が 29.2%となっています。総戸数規模が大きくなるほど何らかの対応策を実施している割合が高くなる傾向にあります。平成20年度と平成25年度を比較すると、いずれの対応も増加しています。
しかしながら、「特に何もしていない」と回答した管理組合が未だに29.2%もあります。防災訓練を実施していないマンションは、至急防災訓練を検討すべきです。管理会社は、受託しているマンションのすべてで、防災訓練を提案するのが当然です。そういった住人の安全を守る提案ができてこそ信頼すべき管理会社です。

防犯対策の実施状況

「防犯カメラを設置した」が 72.1%と 最も多く、次いで「住戸の錠の交換を行った」が 14.7%、「 寄りの交番、警察署の連絡先等を組合員に周知」が13.6%となっています。
防犯カメラがないマンションでも、後から設置できるケースが多い。防犯と防災については、管理組合が取り組むべき最も大切なことです。議案にしなくても総会の後などに、一度話し合いの時間を設けてください。

専門家の活用状況

専門家を「活用したことがない」が45.4%、活用したことがある専門家の種類については、「建築士」が24.4%と も多く、次いで「弁護士」が18.7%、「マンション管理士」が16.4%となっています。
建築士は、大規模修繕工事、弁護士は、滞納問題で多く活用されてることが推察できます。一方、マンション管理士の活用方法については、今後は、マンション管理士の認知度もあがり活躍の場も広がっていくでしょう。

マンション標準管理規約第43条(専門的知識を有する者の活用)
管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。


マンションは一つの建物を多くの人が区分して所有するという形態ゆえ、利用形態の混在化による権利・利用関係の複雑さがあります。また、建物構造上の技術的判断の難しさもあり、マンションを適切に維持・管理していくには、専門的知識を有する者に相談したり、助言、指導その他の援助を求めるなど、専門的分野にも適切に対応することが求められます。

トラブル(過去1年間)の発生状況


「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が 55.9%と も多く、次いで「建物の不具合に係るもの」が 31.0%、「費用負担に係るもの」が 28.0%となっています。一方、「特にトラブルは発生していない」が 26.9%です。平成20年度と平成25年度を比較すると、特にトラブルがないマンションは26.9%に増加しています。
管理会社等のトラブルは、減少傾向です。このグラフを見る限りでは、世間で言われているような「管理会社とのトラブルが増えている!」といった傾向はみられません。むしろマンションの管理の適正化法成立以降、一部の悪質な管理会社が減り全体的な管理会社の質があがってきた証拠でしょう。

居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容


いずれのトラブルもほぼ減少傾向となっています。平成25年度は、違法駐車・違法駐輪が40.1%と最も多く、次いで生活音が34.3%、ペット飼育が22.7%となっています。マンション内のトラブルが減っているのは良い傾向です。この資料をもとに、トラブルの原因となる項目を把握し、トラブルを未然に防いでください。

トラブルの処理方法


「管理組合内で話し合った」が 69.2%と も多く、次いで「マンション管理業者に相談した」が48.0%、「当事者間で話し合った」が25.4%となっています。
平成20年度と平成25年度を比較すると、マンション管理士に相談した割合が増加し、管理組合内で話し合った割合及び当事者間で話し合った割合が減少しています。

管理に関して取り組むべき課題

「防災対策」が38.2%と も多く、次いで「長期修繕計画の作成又は見直し」が34.3%、「修繕積立金の積立金額の見直し」が 27.1%となっています。取得時期が古くなるほど「管理規約の作成又は見直し」、「管理費等の滞納対策」、「耐震診断の実施、耐震改修工事の実施」の割合は高くなる傾向にあります。
防災対策の提案力が不足している管理会社が多くみられる。マンションの住人の安全を守るのが管理会社の仕事です。受託しているすべてのマンションに、防災対策を提案してください。

マンションの管理・運営に疑問を持ったときの相談先

「理事長(又は理事)」が 50.6%、「マンション管理業者」が 50.4%、「他の居住者」が30.0%と身近な相談先の割合が高くなっています。マンションの管理会社は、マンションにとって一番頼りになる味方です。もっと上手に活用して、理事会とマンション管理会社の二人三脚で、マンションをさらに素晴らしいものにしてください。

管理組合運営における将来への不安

「区分所有者の高齢化」が 57.0%と も多く、次いで「管理組合活動に無関心な区分所有者の増加」が34.8%、「理事の選任が困難」が31.8%、「修繕積立金の不足」が28.6%となっています。マンションの高齢化問題はすべてのマンションに共通する課題です。若者が入居したくなるような、マンションづくりを目指してください。

この記事のまとめ

マンション総合調査は、国土交通省が5年毎に実施する他のマンションの状況を知ることのできるマンション管理に関する貴重な資料です。マンションにはそれぞれ規模や築年数などの違いがありますので、他のマンションに合わせれば良いということではありませんが、これから起こりえるマンション管理の課題をなどを知る上での参考になるでしょう。
平成25年度の結果では、以前であればいずれは一戸建て住宅へ住み替えることが一般的だったマンションが「終の棲家」として考えられるようになってきたことが印象的です。マンションに対する人々の考え方が大きく変わりもはやマンションは「仮の住まい」ではなくなり、マンション管理に求める水準も高くなっています。
また、老朽化したマンションほど居住者の高齢化が進行しているというデータもあり、高齢者世帯の急増が大きな社会問題となっています。今後のマンション管理においては、居住者の高齢化問題や、理事のなり手不足に対する対策などの整備が急務となっています。
管理組合向け
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