設計コンサルタント選びの難しさ
大規模修繕工事の設計コンサルタントは、施工業者と違い、目に見える形での結果を提供するわけではないため得てして業務内容が曖昧になりがちです。
また、選定の段階では、実際に設計コンサルタントの業務である建物調査や診断などの結果を提出させてプレゼンテーションをさせるようなことはできないため、良い設計コンサルタントをどのように選択するかは非常に難しい問題になります。
設計コンサルも複数社を比較して選択しよう
最近では管理組合も知識を得て、設計コンサルタント選びでも、数社に対して面接をして決めるケースがほとんどです。公募などをおこなって複数社を集めた上でプレゼン会を実施するなどして、十分に競争原理を働かせることで優れた設計コンサルタントの選定を目指しています。
コンサルタント会社の選び方
大規模修繕工事におけるコンサルタント会社の主な役割は「管理組合」と「施工会社」の間に入って工事が円滑に進むよう調整することです。しかし、中には悪徳なコンサルタント業者もいるため注意が必要です。コンサルタントの選び方を間違えてしまうと大規模修繕は理想とはかけ離れた結果になってしまいます。
管理組合がコンサルタント会社を探すには、下記のように「インターネット検索」や「関係者からの推薦」「業界新聞により公募」するといった方法があります。
1.インターネット検索
グーグルなどで「大規模修繕 コンサルタント」といったワードで検索すれば、複数の業者がヒットします。十分な実績があるか確認した上で「会社名 評判」といったキーワードで再度検索してみるのも良い方法です。コンサルタント会社へ直接コンタクトする前に一度相談してみるのもよいでしょう。
2.住人や知人からの推薦
マンションの住人や理事、知人等からコンサルタント会社を紹介してもらう方法です。マンションの掲示板等を利用して募集をおこないます。関係者の紹介ということで安心感が得られるといったメリットの一方で、デメリットとしては、仕事内容に問題があった場合に、関係者を巻き込んだトラブルにつながる恐れがあることです。
3.管理会社からの紹介
管理会社からコンサルタント会社を紹介されるケースもあります。コンサルタント会社から管理会社へ紹介料という名目でバックマージンやリベートを渡すといった悪質なケースもあるため、管理会社から紹介されたコンサルタント会社以外からも見積りを取得することをおすすめします。
4.専門紙を通じて公募
「マンション管理新聞」「建通新聞」といった専門新聞を通じてコンサルタント会社を公募する方法です。公平性を保つことできますが、多くのコンサルタント会社から応募があった場合には、結局どの会社を選べば良いか判断が難しいといった問題があります。
設計コンサルタントの選定コンサルはマンション管理士?
現在では、施工業者を選定とするのと同じように、管理組合が設計コンサルタントの選定に頭を悩ませるという状況も生まれています。さらに、マンション管理士が設計コンサルント選定のコンサルタントとして採用されるケースもあります。日常から付き合いのある信頼できるマンション管理士が管理組合にいればこうした方法も選択肢にはなるでしょう。
もちろんすべてのマンション管理士が大規模修繕工事に詳しいとは限らないため、場合によっては管理組合の希望通りにはならないこともあります。マンション管理士に設計コンサルタント選びを全面的にお任せするといった扱いは避けるべきでしょう。
このように設計コンサルタント選びも、非常に手間のかかる作業になっているのが現状です。
良い設計コンサルタント選びで重視すべきポイント
設計コンサルタントの選考基準は事務所の規模、資本金・従業員数・実績などが数値で比較しやすい項目ではありますが、良いコンサルタントを選ぶ上で、最も重要視すべきは、実際に業務をおこなうコンサルタント本人の能力や人柄です。
設計事務所は、複数の建築士を抱えていますが、工事が成功するか失敗に終わるは、実際に工事の設計監理を行う建築士本人の能力次第です。ですから、実際に設計監理を担当する建築士と理事会やプレゼン会を通して交流を重ねた上で、その能力を見極めて選ぶことが重要でしょう。
この記事のまとめ
大規模修繕工事の設計監理方式における設計コンサルタントの役割は非常に重要なものです。管理組合では大規模修繕工事に掛けられる予算が限られる中で、設計コンサルタントは、工事の優先順位をつけたり、優良な施工業者の選定にも関ってきます。昨今では悪質なコンサルタントの問題も取り沙汰されて、管理組合も設計コンサルタント選びに疑心暗鬼になっています。悪質なコンサルタントに騙されないためには、設計事務所の規模にとらわれず、設計監理者となる建築士個人の人柄や能力を重視することが大切なことだと考えます。