マンションの大規模修繕工事は一般的には、約12~15年周期で実施しますが、マンション毎に事情が異なり、例えば「何回目の実施か?」「バリューアップ工事を含めるのか?」といった大規模修繕工事に求める役割は異なります。したがって、大規模修繕工事の実施にあっては、まず「理事会」や「修繕委員会」で、今回の大規模修繕工事の「コンセプト」を作成することで、実施から完了まで長期間にわたる大規模修繕工事の検討をスムースに進めることができるでしょう。
長期修繕計画は参考にすぎない
長期修繕計画は、あくまで25~30年程度にわたる部材や設備の劣化状況を予想した修繕計画であり、長期修繕計画の標準様式を参考として作成されたに過ぎません。
大規模修繕工事の実施の検討にあたっては、長期修繕計画を作成した段階では考慮しなかった管理組合毎の「希望」や「要望」などもコンセプトに盛り込むことが管理組合の希望通りの大規模修繕工事をおこなうために重要となるポイントです。
実際に大規模修繕工事に着手するにあたっては、コンセプトにしたがって、工事の仕様を決定します。
大規模修繕のコンセプトの決定
理事会や修繕委員会が中心となって、マンション毎の事情や要望などを盛り込んだコンセプトを作成します。例えば、修繕積立金が十分でない管理組合であれば、必要最低限の修繕工事を安価におこなうというコンセプトになるでしょう。
高齢化が顕著なマンションではバリアフリーを目指すといったコンセプトにするのも良いでしょう。また、大規模修繕工事の実施回数によってもコンセプトは変わってきます。一般的には、第1回目の大規模修繕工事では、新築時の状態に戻すことを最優先して、できる限り費用を節約します。
つぎに2回目の大規模修繕工事では、時間の経過とともに、居住者のライフスタイルも変化している頃ですので「セキュリティの強化」や「高齢者対策」の他、「各種設備の更新」などもコンセプトに加味してくことになるでしょう。
この記事のまとめ
大規模修繕工事にあっては、着手する段階で管理組合の総会で決議することになります。しかし、工事内容を、工事の知識の乏しい区分所有者に完全に理解してもらうことは簡単なことではありません。
そこで、理事会や修繕委員会で、事前に大規模修繕工事におけるコンセプトをしっかりと作成しておくことで、マンションの住人の理解を深める効果があります。
大規模修繕工事が終わったあとに「こんなはずではなかった」といった住人からの不満やトラブルを回避するためにも、大規模修繕工事の第一歩としてコンセプトを作成することが重要です。
そこで、理事会や修繕委員会で、事前に大規模修繕工事におけるコンセプトをしっかりと作成しておくことで、マンションの住人の理解を深める効果があります。
大規模修繕工事が終わったあとに「こんなはずではなかった」といった住人からの不満やトラブルを回避するためにも、大規模修繕工事の第一歩としてコンセプトを作成することが重要です。