マンション自転車置場の現状
分譲マンションの駐輪場はマンション毎に設備が異なります。単純に地面に平置きの場合や、都市部の場合には2段式のラックが設置されているケースが多いでしょう。
駐輪場が不足している場合には、理事会が中心となって自転車置場のスペースを確保するための対策をおこないます。駐輪場使用についての「ルール整備」や「不要自転車の処分」「駐輪ラックの増設」などの検討が必要です
駐輪場の使用状況を把握(アンケート)
駐輪場の整備にあたっては、まずはマンション内での駐輪場の使用状況を把握する必要があります。特に、管理台帳などで管理会社や管理組合が、「駐輪場の使用状況」を把握していない場合には、アンケート等で駐輪場の使用状況の調査が必要です。
居住者を対象にしたアンケート調査で「現在何台自転車を使用しているのか、今後更に購入する予定があるのか」確認をおこないます。居住者アンケートの結果、今後も駐輪場の不足が深刻な場合には、その対策を理事会で協議します。
マンションの駐輪場の整理
駐輪場の整理の方法として自転車を届出方式にすることを検討します。理事や管理人が、申請された情報と実際の駐輪場の使用状況を定期的に比較することで、無断駐輪やルール違反の使用を防ぐことができるようになります。
駐輪場の整理1│自転車にステッカー(シール)貼付
管理組合が、居住者から届け出のあった自転車にステッカーを発行することで、ステッカーの貼付のない自転車は無登録や違法駐輪であることを把握できます。また、自転車ステッカーの色を毎年変えることで、駐輪場使用期間の制限を設けることができるようになります。
駐輪場の整理2│区画ナンバーを定める
駐輪場に区画ナンバーを割り当てます。駐輪場使用の申請はしたけれど、駐輪場の区画外や、通路に駐輪するといった行為を防ぎます。区画毎にナンバーを割り振ることで管理が容易になり、また、自転車シールに区画番号を記入することで、自転車と区画との関連が一目でわかるようになります。
駐輪場が足りない場合の措置
住人の引っ越しや、子供の成長とともに使われなくなった自転車がそのまま放置されている場合や、悪質な場合には外部から不要自転車が持ち込まれることもあります。駐輪場が足りない場合には、以下のような対策を取りましょう。
駐輪場の不足対策1│不要自転車の処分
マンション内に放置されている自転車は、「盗難車」や「長期間不在にしている居住者の自転車」である可能性もあるため、勝手に撤去や処分をおこなってトラブルにならないように慎重に対処を検討します。
補足│所有者不明の自転車を処分する方法
最初にすべきことは、マンション内の掲示板や回覧などを利用して自転車の持ち主を探す事です。マンション内の全ての自転車に期限を設けたお知らせを貼りつけて、一定期間経過後も連絡がない場合には不要自転車と判断します。
こうした方法でも所有者が現れない場合には、居住者以外の自転車の可能性もあるので、管理組合で処分をおこなう前には警察署に届出をおこないます。警察で所有者を確認できない場合には、管理組合で処分をおこなうほかありません。処分方法は、自転車販売店に持っていく他、最近では、マンション向けの無料で引き取るリサイクル業者などもあるため管理会社の担当者(フロント)に確認しましょう。
駐輪場の不足対策2│敷地内の空きスペースの活用
マンションの敷地の空きスペースを自転車置場にする階段下のスペースや受水槽の撤去跡などを探せば意外とスペースが見つかるものです。大人用自転車は無理でも子供用の自転車であれば十分停められることもあります。
平置き駐輪場の場合には、ホームセンターなどで専用の白いテープを買ってきて区画を引くことができますが、路面の状況によっては剥がれやすいこともありますので、この場合には業者に白線引きを依頼しましょう。空きスペースにみえても、緊急時の避難経路となっている場合もあるので、管理会社に確認をおこなった上で駐輪場として利用します。
駐輪場の不足対策3│2段式駐輪ラックの導入
駐輪ラックを設置することにより駐車台数は増えますが、設置には高額な費用が発生します。ラックの種類は多岐にわたりますが、近年では、電動自転車や子供を乗せるカゴ付きの自転車も増えているので対応しているか確認が必要です。駐輪ラックはメーカーごとの使い勝手や耐久性に大きな差があるため、増設の際にはできれば実際のサンプルを確認して慎重に検討することが必要です。
補足│駐輪ラック導入についての注意点
特に屋根付きの駐輪場を設ける場合には、その屋根の面積が建築面積に追加され建築基準法違反にあたる可能性がありますので、事前に管理会社などに確認が必要です。
また、駐輪場の隣地に住宅がある場合には、自転車ラックを使用時の騒音や、屋根によって日影にならないかを確認をして、影響がある場合には隣地に事前説明をおこなうことが望ましいでしょう。
この記事のまとめ
駐輪場の不足は、管理組合にとって頭の痛い問題です。あぶれた自転車が通路などに置かれると美観を損なうだけではなく、避難経路を塞ぐなど災害時の避難を妨げる原因にもなります。近年、駐車場の空き区画の増加が問題になっている一方で、駐輪場に関しては、車離れや健康志向の高まりもあって、マンションでは駐輪場の不足に頭を悩ませている管理組合も多いと思います。
一般に、マンションを建築する場合には、特に都心部では建築基準法いっぱいで建てることが多いため、駐輪場の増設は難しいケースが多いでしょう。駐輪場の増設が難しい場合に有効な空き不足対策は、使用細則の整備などによるルールづくりや、不要な自転車を長期間放置しない管理体制の強化が有効です。
ルールづくりは、事前の居住者アンケートや総会での承認に至る過程で理事会の手間はありますが、駐輪場の整備は快適なマンションづくりに大いに貢献します。管理会社の担当者(フロントマン)や、マンション管理士等の外部の専門家の協力を仰ぎ、マンションの事情にあった自転車置場のルールづくりを目指しましょう。