区分所有法では管理者には誰でもなれる
区分所有法では「管理者を選任することができる」と規定されているだけで、必ずしも管理者の選任が強制されているわけではありません。しかしながら、区分所有者全員が共同で管理業務をおこなっていくことは現実的に困難なため、ほとんどの管理組合では管理規約では「管理者に理事長を選任する」ことが規定されています。
仮に「管理規約」や「総会の決議」で管理者が選任されていない場合には、区分所有者全員でマンションの管理をおこなうことになります。また、区分所有法では管理者となるための要件を具体的には規定していないので、管理組合の区分所有者以外の個人でも法人でも管理者になることができます。
区分所有法第25条
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
ほとんどのマンションでは理事長イコール管理者
一定規模以上のマンションでは、区分所有者全員が共同で管理をおこなっていくことは、現実的には不可能なため、一般的な管理規約では「管理者として理事長を選任すること」が規定されています。したがって通常は、管理組合の理事長が「管理者」となります。
ただし、前出のとおり、管理者を必ずしも理事長とする必要はありませんので管理者と理事長を別途定めることもあり得ます。
標準管理規約第38条2項
理事長は区分所有法に定める管理者とする。
管理者の業務
区分所有法では、管理者は総会を少なくとも年一回招集し、組合の事務に関する報告を行わなくてはなりません。また、議事録や管理規約の保管や損害保険契約に基づく保険金の請求及び受領業務が義務付けられており、一般的な管理規約では理事長の業務として記載されています。
管理者管理方式とは
理事長のなり手不足が深刻であったり、理事長に過重な負担が掛かる場合などには、管理組合員以外の外部の専門家が管理者となる方法もあります。この方法のことを「管理者管理方式」と呼んでいます。
この方式は、理事会制度を廃止して専門家が管理者となる仕組みの他、専門家が理事長に就任するなど複数のパターンがあります。こうした仕組みは「第三者管理方式」「理事長代行方式」などと呼ばれることもあります。