理事会の広報活動の重要性
一般の区分所有者の理解や関心の足りなさを嘆く管理組合の役員は多いのですが、実情を聞いてみると、広報が手薄である場合が意外に多いものです。
管理組合にとって、広報活動は最も重要な仕事の一つです。役員がどれほど一生懸命に努力を重ねても、理事会で現在取り組んでいる課題は何かを積極的に知らせなければ一般の区分所有者は何一つ知ることはできません。
理解が不十分であれば、管理組合への協力度も低くなります。広報のための努力と工夫がもっと再認識される必要があるように思えます。
管理組合運営はオープンであること
管理組合は、居住者に対し公平・公正・中立性を保った関係や対応が必要です。そのためにオープンな理事会運営を目指し、理事会での検討内容は積極的に居住者に情報発信し、情報共有を図ることが大切です。毎月の理事会での審議内容や緊急的な事案などを、できるかぎり詳細に伝え活動の透明性を確保します。
広報の手段いろいろ
生活スタイルが多様な居住者へ対して確実に情報を伝達するために「マンション内の掲示板」「紙面での各戸配布」「回覧板」「説明会」「電子メー ル」など複数の広報手段を活用します。その他、居住者の声を反映させるためにエントランスなどに「ご意見ポスト」を設置して理事会に対する意見や要望をいつでも投函できるようにしている管理組合もあります。
掲示板
多くのマンションで最も広くおこなわれている広報手段は、情報をマンション内の掲示板に貼り出して知らせる方法です。緊急時など何か事故があってすぐ知らせたいことがある場合などには、掲示板への貼り出しは効果を発揮します。
通常の掲示板のほか、エレベーターホ ールや集合郵便受けの近辺に張り出す方法も、居住者の目について効果的です。ただし、居住者だけでなく、マンシ ョンに出入りする不特定の眼にも触れる可能性があるため、プライ バシーには十分な配慮が必要です。
紙面での各戸配布
総会の開催通知や住人への注意事項など重要度が高い事柄については、紙面で各戸に個別に配布する方法が用いられています。印刷代や封入などの準備と費用負担がかかりますが、マンションの外部に住んでいる方への連絡も郵送で可能になるため、掲示板よりも各戸配布の方が確実な伝達手段と考えられます。
回覧板
回覧板も、比較的築年数の経ったマンションでは一般的に用いられている広報の方法です。隣戸に回覧板を渡すという行為が、コミュニティー形成につながる効果もあります。ただし、回覧には時間がかかるため、緊急時には注意が必要です。
説明会
管理規約の改正や大規模修繕工事など、重要な議題を審議にかける総会の前などには、説明会の開催を検討します。総会の議案書など書面だけでは内容を把握しにくい場合などには、効果的な方法です。
電子メール
電子メールは、多人数に対して簡単に送信できるメリットはありますが、プライバシー保護の観点から住人全員のメールアドレスを把握している管理組合はあまりないでしょう。
メールの環境が整っていない高齢世帯なども多いことからメールでの広報は、他の手段の補助にとどめるべきでしょう。
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プライバシーの保護と情報公開のバランス
いずれの方法を用いるにしても、プライバシーの保護には十分配慮しなければなりません。たとえば、理事会の議事録を掲示したところ、滞納者の記載があって名誉毀損で訴えられた管理組合もあります。
こうしたトラブルをさけるためにマンションの広報では、公開してもよい情報か否かを個別に判断して、発信にあたっては十分な配慮が必要になります。
この記事のまとめ
理事会が今現在取り組んでいる課題は何であるか、何らかの方法で知らされない限りは、当然一般の住人は理解が不十分になり、結果として管理組合への協力度も低くなります。
広報を怠ると「理事会が勝手にやっている」という誤解を招く結果にもなりかねません。こうした事態にならないように、理事会は広報などを利用して本来の重要な役割が認識されるように努力が必要です。
マンションの住人の無関心の原因が情報の不足にある場合も意外と多いため、理事会からの広報の必要性を再認識することが重要です。