居住者名簿(管理会社の区分所有者名簿との違い)
マンションにおける名簿といえば、入居の際などに管理会社に提出する区分所有者の情報があります。これは主に管理費等の徴収先の把握を主な目的としています。緊急連絡先や家族構成についても管理会社が把握している場合もありますが、個人情報保護の観点から原則としてこうした情報は、理事会には開示されません。
こうした事情から管理組合が災害時に利用するための居住者名簿を作成する必要性がでてきます。名簿を作成する場合には「災害発生時以外には閲覧しない」などの一定のルールのもとマンションの住人から自己申告で情報を収集します。こうした管理組合が管理する名簿のことを一般的にマンションにおける「居住者名簿」と呼んでおり、管理会社が管理する「区分所有者の名簿」とは目的や用途が異なります。居住者名簿は、マンションの住人の実態を管理組合が把握するために欠かせない資料となります。
居住者名簿の必要性
過去の大震災発生時には居住者名簿を整備していなかったマンションでは、マンションに「誰が住んでいるのか」「誰を助けたらよいのかわからない」といった事態により混乱が生じました。また、地震の後に「マンションの修理」「建て替え」の手続きに総会での決議が必要となっても、連絡先がわからず総会の開催が困難となりました。
こうした事態にそなえて、住人のプライバシーは最大限尊重するとしても必要最低限の連絡先などは管理組合として把握しておく必要性があります。
居住者名簿に必要な項目
- 居住者の名前
- 年齢
- 勤務先(学校)
- 緊急連絡先
- 病気の有無
管理組合で居住者名簿を新規に作成する場合には、必要性を十分に説明して住人の協力を求める必要があります。昨今ではプライバシーの問題について神経質な方も増え理解を得られない場合もあります。
名簿への記載内容は管理組合毎に判断すべきことですが、せめて、住人の名前と複数の緊急連絡先だけは管理組合で把握するようにします。
プライバシーの保護
居住者名簿の取り扱いについてはプライバシーや個人情報保護法などに配慮したルールを策定することが重要です。外部に情報が流出しないように施錠できる保管場所での管理や、閲覧する場合の手続き等はルールにすべき基本的な遵守事項です。保管場所については、厳重に保管するほか、万が一の際に居住者名簿を取り出せなくては意味がないため、管理室に保管する場合等は、その鍵の管理方法まで十分に検討する必要があります。