平成29年度マンション管理士試験
問題
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注 意)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから28ページまでの50問です。
2 試験開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。また、法律等の略称及び用語の定義について、裏面の記載を確認してください。
3 答は、別の解答用紙に記入してください。解答用紙に記入する際は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
4 答は、各問題とも1つだけです。2つ以上の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。
5 問題中法令等に関する部分は、平成29年4月1日現在施行中の規定に基づいて出題されています。
問題の中で使用している主な法律等の略称及び用語の定義については、以下のとおりとします。
・「区分所有法」………………… 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)
・「マンション管理適正化法」… マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)
・「標準管理規約」………………… マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(単棟型)コメント (平成28年3月14日国土交通省土地・建設産業局長・同住宅局長通知)
・「マンション」………………… 「マンション管理適正化法第2条第1号イに規定するマンション」をいう。
・「管理組合」…………………… 「区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体」をいう。
問1
区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体(この問いにおいて「3条の団体」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立し、権利能力のない社団が存在する。
2 3条の団体は、区分所有権を有する者がその構成員となる団体であり、区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、集会の決議及び規約に拘束されることはない。
3 特定の区分所有者が、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為による共同生活上の障害が著しい場合には、その区分所有者について、区分所有権を保持させたままで3条の団体の構成員の資格を失わせることができる。
4 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)があっても、区分所有者全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される3条の団体は存在しない。
- 解答
- 4
問2
甲マンション101号室の所有権がAからBに移転した場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、正しいものはどれか。
1 Aが管理費を滞納していた場合、AB間の合意があれば、BはAの滞納管理費を承継しないことができ、管理組合から請求があっても支払を拒否することができる。
2 Bは、仲介業者からAに管理費の滞納があると聞いていたので、滞納管理費の支払には応じるが、甲マンションの規約に定める遅延損害金については、責任はAにあるとして支払を拒否することができる。
3 Aがその所有時に甲マンションの規約で定めた義務に違反する行為を行い、規約に定める違約金としての弁護士費用の支払を怠っていた場合、Bはその弁護士費用を支払う義務がある。
4 Bが、101号室の抵当権の実行による競売において同室を買受け、AからBへの所有権の移転が行われた場合、Aが滞納していた管理費はBに承継されない。
- 解答
- 3
問3
Aは、その所有する甲マンションの2階202号室について、上階の排水管から発生した水漏れによって被害を受けたことを理由に、損害賠償を請求することにした。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 漏水の原因が甲マンションの3階部分にある排水管の設置又は保存の瑕疵によるものであることが立証された場合には、Aは、排水管が共用部分に属するものであることを立証しなくても、管理組合に対して損害賠償を請求することができる。
2 漏水による損害賠償の責任を管理組合が負う場合には、管理組合は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために納入された管理費等を、賠償金に充当することを集会で決議することができる。
3 Aが受けた水漏れの損害については、3階部分の排水管の設置又は保存に瑕疵があることによって生じたものであることが区分所有法上推定される。
4 漏水の原因が202号室の直上階にある3階302号室の専有部分内に存する排水管の設置又は保存の瑕疵による場合において、302号室を賃借し居住しているCが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、同室の所有者Bが損害賠償の義務を負う。
- 解答
- 3
問4
管理者の職務に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 管理者の職務に関する代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
2 管理者は、規約の定めや集会の決議によらなくても、当然にその職務に関して区分所有者のために原告又は被告となることができる。
3 管理者が職務を行うに当たって費用を要するときは、管理者は、委任の規定に従い、前払でその費用を請求することができる。
4 管理者がその職務を行うため自己の過失なくして損害を受けたときは、管理者は、委任の規定に従い、その賠償を請求することができる。
- 解答
- 2
問5
集会の招集に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものの組合せはどれか。
ア 集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が規約の変更の決議であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。
イ 管理者がないときは、裁判所は、区分所有者の請求により、集会を招集する者を選任して、その者に集会を招集させることができる。
ウ 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができるが、この定数は、規約で増減することができる。
エ 集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は、規約で伸縮することができる。
1 アとイ
2 イとウ
3 ウとエ
4 エとア
- 解答
- 4
問6
甲マンション301号室の区分所有者Aが、専有部分をBに賃貸している場合の次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることはできない。
イ 共用部分に係る大規模修繕工事の負担金増額について集会で決議する場合、Bは利害関係を有するとして集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできない。
ウ 規約を変更し毎月の管理費を増額することについて集会で決議する場合、管理費相当分を負担しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。
エ 規約を変更しペットの飼育を禁止することについて集会で決議する場合、301号室でペットを飼育しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
- 解答
- 2
問7
管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 区分所有者以外の利害関係人は、裁判所に対する仮理事の選任の請求を行うことができない。
2 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人には効力を生じない。
3 管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、規約に別段の定めがない限り、区分所有者は等しい割合でその債務の弁済の責めに任ずる。
4 理事が欠けた場合又は規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事(仮理事を含む。)
が就任するまで、なおその職務を行う。
- 解答
- 4
問8
集会の決議及び規約の定めに関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 管理組合法人の解散は、建物の全部滅失及び専有部分がなくなった場合を除き、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の集会の決議によることが必要であり、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることはできない。
2 管理者の選任及び解任は、集会の決議によるほか、規約で別段の定めをすることができる。
3 共同の利益に反する行為の停止の請求についての訴訟の提起は、集会の決議によるほか、規約で集会の決議以外の方法で決するものと定めることができる。
4 管理者がない場合の規約の保管については、建物を使用している区分所有者又はその代理人のうちから、規約又は集会の決議で定められたものがこれに当たる。
- 解答
- 3
問9
議決権及び共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなる甲マンションにおいて、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失したために、集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた(決議では、A、B及びCは決議に賛成し、Dは決議に賛成しなかった)。この場合の区分所有者の買取請求権行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。
1 DがAに対して買取請求権を行使し、裁判所がAの請求によってAの代金支払についての期限の許与を認めた場合には、Aの代金支払義務とDの所有権移転登記及び引渡しの義務は、同時履行の関係に立つ。
2 DがBに対して買取請求をした場合におけるBからCに対する再買取請求は、復旧決議の日から2月以内にしなければならない。
3 DがCに対して買取請求をし、CがA及びBに対して再買取請求をしたときには、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ずつ取得する。
4 地震による甲マンションの一部滅失によって、Dの専有部分が失われている場合には、Dは、買取請求権を行使することはできない。
- 解答
- 3
問10
一団地内に下図のとおり、専有部分のある建物であるA棟、B棟及び附属施設である集会所が存在し、A棟及びB棟の団地建物所有者が土地及び附属施設である集会所を共有している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 集会所は、当然にA棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合における団地共用部分となる。
2 A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合は、当然に集会所の管理を行う。
3 A棟については、A棟の区分所有者だけによる管理を行うものとしたままで、B棟については、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合が管理を行うものとすることはできない。
4 A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合がA棟及びB棟の管理を行うものとする場合において、A棟の管理とB棟の管理について、規約で異なる内容を定めることができる。
- 解答
- 1