マンションは共同生活の場ですので、それだけトラブルの内容も多岐にわたります。しかしほとんどの役員(理事)は、管理組合の運営について専門的知識を持ちあわせていません。しかしマンションの居住者の中には「弁護士」や「建築士」「会計士」といった資格を持つ方のほか、「建築」や「不動産」などの専門家がいることも多いでしょう。こうした身内の専門家は心強いものがありますが、身内だからこそ「費用の支払い」や「利害関係」などの難しい側面もあります。そこで、管理組合でトラブルが発生した場合には、利害関係のない第三者の立場である外部の専門家に依頼して解決をはかることが望ましいでしょう。
外部の専門家の活用を検討
たとえば「管理組合」と「管理会社」との信頼関係が崩れ解決が難しい問題が発生した場合には、費用をかけても外部の専門家に依頼することを検討します。
昨今では、トラブルが起きる前に、管理組合がマンション管理士等の専門家と顧問契約を結ぶケースも増えてきました。マンションの管理規約にも「専門家に相談したり、助言、指導、援助を求めたりすることができる」といった条文が記載されていることが多いでしょう。
新しい標準管理規約では、外部専門家の活用について新たに規定が整備されました。これまでも、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し援助を求めることが記載されていましたが、改正では、さらに進んで外部の専門家が管理組合の役員(理事)に就任して、直接管理組合の運営に携わることも想定されています。
マンションでトラブルが起きた場合に支援を依頼すべき専門家
マンション管理に関するトラブルを理事会で解決できないときは専門家の活用を検討します。どのような専門家に頼めば良いのかわからない場合には、まずは、マンション管理の幅広い知識をもったマンション管理士に相談することをお勧めします。その他、相談事項が明確になっている場合には、その分野に強い専門家に直接依頼をします。
専門家1│マンション管理士
マンション管理士はマンション管理に関する全般的な知識を持ち「顧問業務」「管理委託契約見直し業務」「管理規約見直し業務」「大規模修繕工事の進め方」等、管理組合が専門的な知識を必要としたときに、中立的な第三者の立場からアドバイスをおこないます。
専門家2│弁謨士
弁護士は、マンション内で行なわれる違反行為の差し止め等の請求や訴訟のほか、管理費や修繕積立金などの滞納などの「債権回収」を代理でおこなうことは弁護士のみがおこなえる業務です。
専門家3│建築士
マンションの設備や建物などのハードに関するトラブルに関しては、一級建築士事務所などに支援を依頼します。その他、長期修繕計画や大規模修繕工事前の診断や設計、監理業務を依頼できます。
専門家4│公認会計士
マンション内の駐車場を外部に貸し出した場合や、屋上に携帯電話の基地局を設置した場合などの管理組合がおこなう収益事業についての会計処理に関して支援を依頼できます。
専門家5│行政書士
行政書士は、官公署などに提出する書類の作成が主な仕事です。管理組合で行政書士に依頼するケースはあまり多くはありません。
弁護士と司法書士の役割の違い
弁護士や司法書士、行政書士ははそれぞれ、業務を受諾できる範囲が制限されています。弁護士は、訴訟等の裁判においては、依頼者の代理人になることができます。司法書士は支払督促や訴訟手続きの書類を作成することはできますが、裁判所で代理人として対応することは原則としてできません。