管理費や修繕積立金の滞納の実態
平成30年度マンション総合調査によると「管理費」や「修繕積立金」を3ヶ月以上滞納している所有者がいるマンションは約25%にのぼっています。
3ヶ月未満の短期間の滞納も含めれば、かなりの割合で、「管理費」や「修繕積立金」の滞納が発生していることになります。
管理費等の滞納が発生する原因
マンションの管理費や修繕積立金の滞納者が発生する原因や理由は様々です。単純なうっかりミスの他、「経済的な理由」であったり、「相続の手続きによるもの」や「本人が認知症」であったりと様々です。
滞納の原因により理事会のとるべき対応は異なりますが、いずれの場合にも理事会としては、滞納の原因を正確に把握することで、その後の適切な滞納処理につなげます。
管理費等の滞納の予防措置
理事会がおこなうべき「管理費」や「修繕積立金」の滞納対策には、既に未収となっている金銭(管理費・修繕積立金)の回収だけでなく、いかに滞納を発生せないことも重要です。
完全な滞納の予防方法はありませんが、マンション内のコミュニティを活性化して心理的に滞納をしにくい雰囲気をつくることが管理組合における滞納の予防策としては最も効果的です。
滞納者(未収)への督促方法
滞納者が発生した時点で早めに督促するのが基本ですが、通常、理事は輪番制で滞納の経過がわからなかったり、同じマンション内で顔を合わせる者同士、なかなか督促そのものがやりにくという面もあります。
事前に督促のルールを決めておき、滞納者が出た場合には、たとえば2ヶ月滞納したら理事会名で督促の手紙を出す。4ヶ月滞納したら弁護士名で内容証明郵便を出すいったようにしておくことで、誰が理事になった場合でも事務的に処理できます。
いずれにしても、理事会での滞納者への対応で重要なことは「管理会社」と「理事会」の滞納状況の情報共有と、督促にあたっては「管理会社」と「理事会」が協力することです。
滞納者からすれば管理会社の担当者(フロント)からの督促は無視(放置)することはできても、同じ建物で生活する役員(理事)からの連絡を完全に無視することはできないのが滞納者の心理です。
この記事のまとめ
「管理費」や「修繕積立金」は毎月、管理組合が区分所有者から確実に徴収することが重要ですが、実際には、ほとんどのマンションで「管理費」や「修繕積立金」の滞納(未収)の問題を抱えています。「管理費」や「修繕積立金」は、マンションを維持していくために区分所有者全員が費用を負担することが義務付けられているものです。
このような管理費等の滞納は、マンションの適正な管理を脅かす重大な問題であるばかりでなく、居住者間の不公平感などにより居住者同士の対立など重大な問題に発展するケースが多くあります。この滞納問題は長期化するほど、未収金の回収が困難になるだけでなく、「理事会の労力」や「訴訟費用」等のコスト増にもつながることになります。
滞納問題を重大なトラブルに発展させないためにも「管理会社」と「理事会」が協力して迅速に滞納者への対応をおこなうことが重要です。まずは「理事」が「管理会社」から毎月提出される月次報告書の中の未収金明細書などをもとに、「管理会社」がきちんと督促業務を行っているかチェックをおこない、仮に滞納者がいるようなら「理事会」で迅速に滞納者への対応を検討することが重要です。