相場価格と比較して管理費が適正であるか把握する
マンションの管理を円滑に進めるために、どこのマンションでも管理費と修繕積立金が毎月集められています。管理組合の活動も、こうした費用が前提となります。
それでは、適正な管理費とはいくらでしょうか?管理にかかる費用はマンションの設備や、規模によって大きくかわるため、適切な管理費を知ることは簡単ではありません。しかし地域や規模ごとの他のマンションの管理費の相場価格と比較することである程度、自分たちのマンションの管理費が適正であるか把握することができます。
【計算機】「管理費」「修繕積立金」の相場価格
この計算機は、管理費・修繕積立金の額の目安を示して、管理費等の見直しの際の判断材料を提供するために作成したものです。一般的なマンションのおおよその「管理費」と「修繕積立金」の相場価格を算出することができます。計算結果は、平成30年度マンション総合調査結果を基礎データーとして独自の計算式で導き出した値です。
相場価格と比較することで知る管理費の適正価格
■ たとえば、75平米のマンションのお部屋を想定して相場価格を算出してみます。
管理費の相場価格は、15,084 円となっていますが、実際にマンションを管理するために要する費用は「エレベータの数」や「機械式駐車場の有無」など、マンションの設備によって大きく異なります。
マンションのグレードにあった管理の質が満たされていなければ、それは単に「管理費が安い」だけであって「管理費が適正」とは言えません。
管理費は、マンション管理の質を左右する大切なお金ですので、単に安ければ良いというものではありません。
お住まいのマンションの管理費が相場より著しく高い場合
このように、個々のマンション事情によって、マンションの管理費が異なるのは当然のことです。相場価格との比較は、あくまで参考にすべきものです。しかし、お住まいのマンションの管理費が相場と比較して著しく高額な場合には、無駄なコストを支出している可能性もあります。
マンション竣工以来、管理組合が、一度も管理費の額を見直すことなく高い管理費を支払いつづけているケースがあるからです。
1│管理費は管理会社への支払いだけに使われるわけではない
誤解されやすいのは、毎月支払っている管理費は直接管理会社に支払っているのではなく管理組合の口座に納められていることです。確かにほとんどのマンションでは管理会社に業務委託しているので、管理費から管理会社に報酬を支払っています。
しかし、集められた管理費はマンション管理会社への支払いだけではなく、管理会社以外の保守会社等への支払いの他、共用部分の維持管理や、光熱費、保険料など様々な用途に使われています。
2│管理費を下げるには、コンサルタントを利用するのも良い方法
結局のところ、自分の部屋の管理費の設定が適正であるかを判断するのは簡単ではないため、理事会が中心となって管理組合の支出の項目をひとつひとつ試算して判断することが必要になります。
しかし、適正な金額を把握することが難しいマンション管理会社への支払い額や、保険契約や電気代などが適正であるかといった判断作業は管理の知識の乏しい区分所有者を中心とした理事会では難しいでしょう。
こうした場合には、マンション管理士や管理コスト削減のコンサルタントを利用するのもひとつの方法です。
ただし、成功報酬制で「管理費削減額の何割かを報酬にするといった」サービスの場合、無理な削減により管理の質が低下したり、居住者の合意形成が不十分なまま、管理会社の変更(リプレイス)が行なわれる危険性もありますので注意が必要です。
補足│管理費と修繕積立金の違い
これまで、主に管理費の相場について説明してきました。管理費は、日常的な管理を行うための費用(管理委託費や水道光熱費等)など、毎月の経常的な費用をまかなうためのものです。一方で、修繕積立金は、大規模修繕工事を実施するには多額の費用を要するため、大規模修繕工事の実施の際に費用が足りないという事態を避けるために将来に向けてその費用を計画的に積み立てるものです。
このように、使用目的が管理費と修繕積立金とは異なります。
管理費が不足したような場合でも原則として修繕積立金からその穴埋めに使うことはできません。修繕積立金は管理費とは区分して経理処理する必要があります。
この記事のまとめ
管理費の適正な金額は、マンションの管理の質や設備の充実度によって大きくかわる管理コストによって異なります。しかし、マンションの分譲段階では分譲会社が管理費や修繕積立金の額を設定をするため、販売をしやすくするために、管理費や修繕積立金の当初月額が著しく低く設定されているケースがみられます。
管理費は、安ければ安いほど良いわけではありません。たとえば、管理員の勤務時間を長くすれば、その分管理コストは掛かります。そうなればどうしても管理費を高くせざるをえません。
自分たちのマンションをどのようにしていくかは、マンションの理事会や総会で決めていきます。自分は、金銭的負担が少ないシンプルな管理で十分と考えても、他の方は多少管理費が高くても充実した管理を受けたいと考えているかもしれません。管理費の金額を変更するには、理事会が中心となって、議論を重ねた上で総会で承認を得るといった手続きが必要となります。管理費の一般的な相場を知ってある程度、自分たちのマンションの管理費が高いか安いかは判断できてもその後の対応は理事会や総会に委ねられています。
もし「うちのマンションの管理費は高すぎる」と感じたのなら、理事に立候補して積極的にマンション管理に関わっていきましょう。
なお、マンション管理費の相場については、国土交通省作成のマンション総合調査結果から地域別、戸数別で知ることができます。