平成28年度
管理業務主任者試験問題
平成28年12月4日
次の注意事項をよく読んでから、始めてください。
(注意)
1 これは試験問題です。問題は、1ページから34ページまで50問です。
2 試験の開始の合図と同時に、問題のページ数を確認してください。もし落丁や乱丁があった場合は、ただちに試験監督員に申し出てください。
3 解答は、別紙の解答用紙に記入してください。
4 正解は、各問題とも1つだけです。複数の解答をしたもの、判読が困難なものは、正解としません。解答は、解答用紙の注意事項をよく読み、所定の要領で記入してください。
5 問題中の法令等に関する部分は、平成28年4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されています。
問1
被保佐人が所有するマンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「マンション管理適正化法」という。)第2条第1項に規定するものをいう。以下同じ。)の一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)の売却に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものの組み合わせはどれか。
ア 被保佐人が保佐人の同意を得ることなく甲を売却した場合、当該売買契約を取り消すことができる者は、被保佐人に限られている。
イ 被保佐人の請求により、家庭裁判所が被保佐人のために甲の売却について当該保佐人に代理権を付与する旨の審判をするには、被保佐人の同意がなければならない。
ウ 被保佐人が、保佐人の同意を得ることなく甲を売却した場合、相手方が被保佐人に対し、1箇月以上の期間を定めて、保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたときは、相手方がその期間内に追認を得た旨の通知を受けなくても、その行為を保佐人が追認したものとみなされる。
エ 被保佐人が甲を売却する際に、自らが行為能力者であることを信じさせるため、被保佐人であることを黙秘していたことが、他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、又は誤信を強めたものと認められる場合には、被保佐人はその行為を取り消すことができない。
1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
- 解答
- 1
問2
マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)の管理者 B(以下、本問において「B」という。)が、その職務に関し、C会社(以下、本 問において「C」という。)との間で取引行為(以下、本問において「本件取引行 為」という。)をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しい ものはどれか。
1 Bの本件取引行為に係る意思表示について要素の錯誤があった場合には、Aは、C に対してその意思表示を取り消すことができる。
2 第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場 合、Cがその事実を知っていたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。
3 Bが、本件取引行為をする前に、補助開始の審判を受けていたときは、Bの代理権 は消滅しているので、本件取引行為の効力は生じない。
4 Bが管理者を解任された後に本件取引行為をしていたとした場合、Cがその解任の 事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、本件取引行為 の効力は生じない。
- 解答
- 2
問3
消滅時効及び除斥期間に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 売主の詐欺によりマンションの一住戸の売買契約が締結された場合、買主の意思表示の取消権は、追認をすることができる時から年間行使しないとき、また意思表示の時から20年を経過したときは消滅する。
2 管理組合の組合員に対する管理費支払請求権は、滞納の時から年間行使しないときは消滅する。
3 管理組合から請け負った工事に関する施工業者の報酬請求権は、工事に着手した時から年間行使しないときは消滅する。
4 第三者の不法行為により管理組合に損害が生じた場合、管理組合の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から年間行使しないとき、また不法行為の時から20年を経過したときは消滅する。
- 解答
- 3
問4
甲マンションの一住戸乙(以下、本問において「乙」という。)を数人が共有する場合に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(以下、「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1 各共有者は、5年を超えない期間内は乙の分割をしない旨の契約をしない限りは、いつでも乙の分割を請求することができる。
2 各共有者は、規約に別段の定めがある場合は、甲マンションの集会で、乙に対するそれぞれの持分に応じて議決権を行使することができる。
3 各共有者は、他の共有者全員の同意を得なければ、乙についての自己の持分を処分することができない。
4 共有者全員の合意により乙が売却された場合、各共有者は、別段の意思表示がない限り、その買主に対して売却代金全額を請求することができる。
- 解答
- 1
問5
マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)は、敷地に集会棟を新築する工事(以下、本問において「本件工事」という。)を行うため、建設会社B(以下、本問において「B」という。)との間で請負契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Bが本件工事を完成できない場合でも、それが当事者双方の責めに帰することができない事由によるものであったときは、BはAに対して報酬の支払いを請求することができる。
2 Bが本件工事を完成したが、集会棟に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、Aは契約を解除して、Bに対し損害賠償を請求することができる。
3 本件工事に伴い既存の共用部分に生じた損害について、区分所有者全員のためにAの管理者が原告となってBに訴訟を提起するには、その旨の規約の定めによるのではなく、集会の決議が必要である。
4 Bが本件工事を完成しない間は、Aは、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。
- 解答
- 4
問6
マンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)の区分所有者A(以下、本問において「A」という。)の死亡により、法定相続人であるBとCが甲を相続分2分の1ずつで共同相続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 BとCが協議で遺産分割をするときには、自己のために相続開始があったことを知った時から3箇月以内にしなければならない。
2 Bが、甲を単独相続するために、Aの死亡後、遺言書を偽造した場合でも、Bは、家庭裁判所がその欠格事由を認定しない限り、相続人としての資格を失わない。
3 Bが、Cに無断で甲を単独で所有する旨の登記をした上で、Dに売却し、移転登記を完了させた場合でも、Cは、自らが相続した甲の持分について、登記がなくてもDに対抗することができる。
4 Bの相続放棄によりCが甲を単独相続したが、その前に、Bが相続した甲の持分についてEが差押えをしていた場合には、CはEの権利を害することができない。
- 解答
- 3
問7
次の記述のうち、マンション標準管理委託契約書及びマンション標準管理委託契約書コメント(平成15年4月9日国総動第3号。国土交通省総合政策局長通知。以下、「標準管理委託契約書」という。)によれば、最も適切なものはどれか。
1 マンション管理業者(マンション管理適正化法第2条第8号に規定する者をいう。以下同じ。)又は管理組合は、管理委託契約の更新について申出があった場合において、当該管理委託契約の有効期間が満了する日までに両者の間で更新に関する協議がととのう見込みがないときは、当該管理委託契約と同一の条件で暫定契約を締結することができるが、その暫定契約の期間は3月を超えることができない。
2 マンション管理業者は、管理員業務、清掃業務又は建物・設備管理業務について、それらの業務の一部を第三者に再委託することはできるが、当該業務の全部を第三者に再委託することはできない。
3 マンション管理業者は、解約等により管理委託契約が終了した場合には、マンション管理業者が保管する設計図書、管理規約の原本、総会議事録、総会議案書等の図書等に加え、組合員等の名簿及び出納事務のためマンション管理業者が預かっている管理組合の口座の通帳、印鑑等を遅滞なく管理組合に引き渡さなければならない。
4 マンション管理業者は、定額委託業務費の内訳について、マンション管理適正化法第72条に基づく重要事項の説明の際に管理組合に対して見積書等であらかじめ明示している場合には、管理組合との合意を得ていなくても、管理委託契約に定額委託業務費の内訳を記載しないことができる。
- 解答
- 3
問8
次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、適切なものの組み合わせはどれか。
ア マンション管理業者は、管理委託契約の契約期間1が年である場合において、3年ごとに実施する特殊建築物定期調査のように、当該管理委託契約の契約期間をまたいで実施する管理事務(マンション管理適正化法第2条第6号に規定するものをいう。以下同じ。)を定額委託業務費に含める場合は、実施時期や費用を管理組合に明示するとともに、当該管理事務を実施しない場合の精算方法をあらかじめ明らかにすべきである。
イ マンション管理業者が行う管理事務の内容に、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務及び浄化槽法に定める水質検査の業務は含まれない。
ウ マンション管理業者が行う管理事務の対象となる部分は、管理規約により管理組合が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分であり、専用使用部分(バルコニー、トランクルーム、専用庭等)については、管理組合が行うべき管理業務の範囲内において、マンション管理業者が管理事務を行う。
エ マンション管理業者は、管理組合の債務不履行を理由に管理委託契約を解除する場合を除き、契約期間の中途において、管理委託契約を解約することはできない。
1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
- 解答
- 1
問9
次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、最も不適切なものはどれか。
1 マンション管理業者及びその従業員は、管理委託契約が終了した後においても、正当な理由がなく、管理事務に関して知り得た管理組合及び当該管理組合の組合員等の秘密を漏らしてはならない。
2 マンション管理業者は、管理事務を通じて当該マンションの劣化等の状況を把握することができることから、長期修繕計画案の作成業務を実施する場合、当該業務に係る契約については、管理委託契約と別個の契約としてはならない。
3 マンション管理業者は、管理組合の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握した当該マンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容等について、改善の必要があると判断した場合には、書面をもって管理組合に助言するものとする。
4 マンション管理業者が、理事会の設置する各種専門委員会の運営支援業務を実施する場合は、その業務内容、費用負担について、別途、管理組合とマンション管理業者が協議して定めるものとする。
- 解答
- 2
問10
マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 滞納額140万円の支払いを求める訴えを簡易裁判所に提起する場合には、民事訴訟法上の少額訴訟制度を利用することができる。
2 滞納者に対して、普通郵便による督促をした場合、その後6箇月以内に裁判上の請求をすれば、普通郵便が滞納者に到達した時に、管理費債権の消滅時効が中断したこととなる。
3 専有部分について賃貸借契約がなされた場合、管理組合は滞納管理費について、規約に別段の定めがなくても、貸主である区分所有者又は賃借人である占有者のいずれに対しても訴えを提起することができる。
4 滞納者に対して、訴えを提起したところ、「必ず払います。」との誓約書を提出したため、終局判決の前に訴えを取り下げた場合は、その後、支払いがなされなかったときでも再び訴えを提起することはできない。
- 解答
- 2